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先日現場に行くと、職人の方が鉄筋の継手部分になにやら塗っていました。




これは実は、鉄筋にセメントミルクを塗っているのだそうです。
日本ですと、
鉄筋やコンクリートに埋め込む鉄骨部分は錆びていた方が定着がよくなるということで、
敢えて塗料を塗らないでおいたりしますが、
スイスのアラワシコンクリートの場合は、
鉄筋からの錆が打継部から染み出てくるのを嫌って
わざわざセメントミルクを塗るのだそうです。

とかくスイスのRC造では、
コンクリート表面のきれいさの方に重点が置かれているようです。


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今回は現場に関係する色々な人について.


日本ではゼネコンさんが一括で契約を纏め,施工図を描き,現場の管理もしてくれますが,
こちらでは,設計者(監理者)が施工図を描き,直接業者とやり取りすることになります.
RC造の場合には,構造設計者が描くのは,型枠図と鉄筋図です.
更に,それに付随する製品の発注リストを作るのも,
施工段階での構造設計者の仕事です.


現場では実際に我々(所内のドラフトマン)が描いた図面を見ながら,
みなさんが工事を進めていきます.


バーゼルはドイツ語圏のスイスですが,
現場で実際に働いている鉄筋工や型枠工,打設工は,
スペインやイタリアからの出稼ぎの方が多いです.
ですので,飛び交う言葉はスペイン語やイタリア語.
ドイツ語を理解しない人も沢山います.

その人たちを束ねるのが,Polierと呼ばれる人.
多言語を操って,実際の現場の指示を丁々発止で出します.

Baumeisterという人と同じ会社の人ですが,
Baumeisterは,鉄筋や接合製品の発注,管理,交渉などをするのが主な役目のようです.


彼らはコンクリート工事に関する諸々を全て請け負っています.


それ以外に,躯体工事中に現場によくいる人に,Bauleiterという人もいます.
この人は,躯体工事に限らず全ての工事の工程管理やコスト管理をしています.

Bauleiterと同じ会社の人で,Projektleiterという人もいます.
この人はどうも,設計チーム及び施主とのコーディネートを担当しているようです.


文化が違うと,仕事の分担の仕方も違ってきます.
そういうことも毎日勉強です.




現場SGAが動いております.

原理は同じ,鉄筋コンクリート造でも,
作り方,という点で文化による違いがあって,
初めての現場ですと,日々,新しいことが満載です.


今回は打継ぎに関して.

スイスの設計者はひび割れに対して,日本よりも遥かに繊細に検討します.
地震という,結局どれくらいのものが来るか予想しつくせないものを相手にしている文化との違いかもしれません.
日本ですと,よほどの規模でない限り,一つのフロアの壁は一度に打ちますが,
スイスでは,ひび割れを起こさない為に,短い長さに区切って打設します.
例えば,平面上で直行する壁などは,大抵分けて打ちます.
そうなると,打ち継ぎ面が沢山発生することになります.
日本では打ち継ぎ面は目荒らしが基本ですが,スイスでは目荒らししません.
そうなると,剪断力はきちんと伝達されるのか?というのがテーマになりますが,
コンクリートの剪断許容応力度に期待せず,
鉄筋で引張り,コンクリートで圧縮の原理をどこまでも追求します.
設計思想が変わってくる訳です.

更に,打ち継ぎ面での鉄筋継手には,それ用の製品が多くあり,
型枠をいちいち切断して調整する必要がありません.
真っ直ぐな型枠で施工の簡単な部位に分解して打設します.
施工の複雑さが減るので,きれいなコンクリートが打てます.
ただ,この製品,階高に合っていないことも多いので,
必ずしもすべての鉄筋がきちんと定着されていることにはならないのが肝です.


多分,日本の設計者もスイスの設計者も,それぞれの文化が当たり前だと思っているので,
何が自分たちのやり方で特殊なのかを意識していません.
こういう発見は,両方の文化を経験した者にしかわからない驚きです.



東日本大震災から3年半以上経ちました.まだ,3年半,とも言えます.
今年は,岐阜県の御嶽山が噴火しました.
現在は台風が日本を襲っています.

つくづく,日本は自然災害の多い国だな,と思います.

どの災害の被害者の方にも,それぞれの人生があって,
どんな被害者も軽んじられるべきではないとは思いますが,
敢えて,ここでは死者(重軽傷者や行方不明者は除く)の人数を大まかに比較してみます.
#15889人と,一万六千人の間には111人もの差があるのであって,
#それは無視していい違いではない,というのもとてもよくわかるのですが,
#敢えて感覚を掴むために,大ざっぱに書きます.

参考までにWW2での死者も.


1923 関東大震災    約10万5千人
1945 第二次世界大戦  約290万人(大日本帝国のみ)
1960 チリ地震     約1800人
1964 新潟地震     26人
1995 阪神淡路大震災  約6500人
2004 新潟県中越地震  68人
2004 スマトラ島沖地震 約22万8千人
2008 四川大地震    約7万人
2011 東日本大震災   約1万6千人
2014 御嶽山噴火2014  55人


当然ですが,マグニチュードの大きさと被害の大きさは比例しません.
人が集まって住んでいる所の方が被害が大きくなりますし,
やはり日本はかなり地震対策を進めているので,
他の国に比べても被害の大きさが段違いであることがわかります.


それぞれの大きな地震で,それぞれの教訓を得て,改善してきました.
関東大震災での被害の多くは,火事によるものでした.
その為,建物の防火対策を進めました.

阪神淡路大震災での被害の多くは,既存不適格建物によるものでした.
その為,耐震改修制度を整備する方向で進んでいます.

東日本大震災は,
それ程人が密集している訳でもない(大都市に比べれば)場所が被災地でしたが,
この被害者の多さは,津波の被害によるものです.
津波に対しては,今まで,高台に逃げる,という対策をとっていましたが,
逃げきれない人もいるということ,帰ってしまった人がいたということ,
津波によって町が破壊された後にどうするのか,ということ,
などが新たなテーマとなったのではないかと思います.

もう一つテーマとなったのは,二次部材による被害です.
建物自体が壊れないで建っていても,
食器や本が飛んでくる,天井やガラスが落ちてくる,といった被害もあり得ます.




少しずつ,人類の知恵が自然とうまく生きていけるようになる.
そして,同時に,そういう知識を,他の国々の方にも知ってもらって,
世界全体で被害を減らしていく.
今,発展途上国などで大地震が起きて被害が沢山出てしまうのは,
人類の知恵が足りていないのではなく,人類の知恵がいきわたっていないから,でしょう.
そういうことが少しでも減って,それに日本での知恵も貢献できたらいいなあ,と思うのです.


そして,もう一つ.
自然災害の被害規模に比べて,戦争の被害規模はけた違いです.
折角地震の対策をして,被害を減らしても,戦争で死んじゃったりしたら,悔しいですね.



今の仕事のメインは、動いている現場SGA。
初めての近場の一般的な建築の現場なので、追われてばったばた。
頼むから問題起こさないでー。対処する時間ないです。

今日はチューリヒの建築家の事務所で、GP Sitzung.
話す人の訛りの強さにもよるけれど、結構ドイツ語聞き取れるようになってきたなあ、と嬉しくなる。
勿論、仕事の話をすることは世間話をすることの100倍簡単で、
更に懸命に考えていることを伝えることの10000倍簡単な訳ですが。


今建設中の小さなプロジェクトPCDは、
現場が遠いのと、予算の関係で、もうこちらの担当部分はおしまい。
後は問題が起きた時の対処だけで、出来上がっていく写真を楽しんでいればいい。
かなり元気なお施主さんのようなので、色々変更が今後ないといいのですが。


更に、結構前からやっていた別のプロジェクトO2がとうとう現場入りしそう。
これは派手なプロジェクトなので、お金が合うかどうかなかなか苦労しているみたい。
本音では、SGAで忙殺されているので、ちょっとありがたい。
やるなら真面目にやりたいので。


コンペをやっていたけれど、
タイミング的にちょっと無理があるのでは、ということで別の人に担当替え。
久しぶりに基本設計をやるのも楽しみではあったし、
敷地が家の近くだったので、やる気もあったのだけれど、迷惑かけても仕方ないし。
そこの事務所は、英語で話す人達も多く、積極的に打合せ中にも発言できるからか、
割と信頼されている感じがあってやりやすかったんだけど、
まあ、また別の機会もあるでしょう。

今日電話があって、チームから多分抜けます、と伝えたら、
今までのインプットに感謝してるから、残念だよ、
でも、こないだの打ち合わせで、忙しくて疲れてるのかな、とは思ったんだ、
と言ってもらえた。
なんのかの、人の気持ちを操るのが上手で、
そう言われたら、次があったらまた頑張っちゃおう、と思ってしまうし、
建築家に必要な能力だよな、と転がされながら思ったりするのでした。


と思っていたら、もう一つ別のコンペ。
これは絵を作るだけだから、そんなに時間はかからないけれど、
私にしかできない、とか所長が言ってくれるので(まあ実際できないと思うけど)
忙しいけど、やっぱりちゃんとやろうと思ったり。
ドイツ語には相変わらずハンディがあるけれど、
(少なくとも事務所内では)自分にしかできない強みを持っていると、精神的に楽。
取り敢えず、これは明日までなので、なんとかしなくては。



そんな感じで、忙しい時期が続きます。
年末にはいい気分で帰国できますように。

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