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私は構造設計を生業としているので,それは差し引いて考えるべきではあるけれど,
それでも構造の芯は,それなりにきれいな数字でできているべきだと考えています.

きれいな数字というのは,1243mmではなくて,1250mmにすべき,ということです.
何故なら,構造は建物を建てる際に,一番最初に作られる部分だからです.
作る側になって考えた時に,いちいち細かい数字の連続では,間違えてしまいます.
構造が間違えたら,その後に来る職人さんがどんなに頑張っても,
その間違えはやり直しがきかないのです.

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こちらに来て初めての実現プロジェクトが進んでいます.ここまで本当に長かった....
幾つも幾つも,最初の案を作る段階で終わったり,それなりに進んでいたのに止まったり.
ですので,ただ実現するというだけでも,とても嬉しいものです.


現在モックアップ製作中で,先日見に行ってきました.
主に主体鉄骨と木の床を見たのですが,ぱっと見て,あらいな,と.
よく言えば,手作り感がある,人間が作っているのだな,という感じとも言えるかもしれません.
ひとつには,今回は特殊な条件が入っていて,大きな部材や現場溶接を使えないため,
ボルト接合が多くなった所為もあるとは思います.
ただ,やはり作り方の文化的な違いもあるように思えます.
日本の業者さんでしたら,事前に検討してなるべく出戻りや失敗が少ないように作るところを,
取敢えず作ってみて,だめだったら直す,という傾向が強いです.

そう言えば,以前スペインのプロジェクトに関わらせて頂いた時に
SRC造の円柱というのがあまり経験がないということで,モックアップを作ってもらったのですが,
その時も,モックアップ後の結論としては,
本番でも,一度打ってみて型枠を外して,ジャンカが多くてだめだったら壊して作り直すよ,
ということになって,大変驚いたのを思い出します.

それはそれで,1:1の模型でスタディしているようなものなので,
空間の気持ちのよさ,のようなものは確かに出しやすくなります.
逆に,継接ぎな感じが出てしまうところもあるので,
抽象的でぴたっとした高精度なものは作りづらくなります.
特に,見えない所まできれいに作る,ことにコンセンサスを得られづらく,
時として張りぼてになってしまうのではないかと懸念もされます.
(特に,私は往々にして見えない部分となる構造の設計者なので,気になります.)


昔,大好きな構造設計者の方に,
スイスのコンクリートは何故こんなにきれいなんですか,と尋ねた時,
現場に足しげく通うからだよ,
と仰っていて,今一つぴんとこなかったのですが,
日本に比べれば事前の検討が少なめなまま現場でものづくりをしているので,
足しげく通わないときれいにならない,
という意味なのかもしれません.


そもそも,見えない場合の構造を何故美しく作らなければならないのか,
そこを突き詰めた時にやはり最終的な空間として違うものができてくると私は信じていますが,
それを実物で検証・証明していくより他はないということなのでしょう.

材料のものとしての質感や,色,生きた空間としての質,
そういったことに関して,
まだまだ学ぶことがありそうです.




私はラッキーなことに,「礼儀正しい」建築家の方と協働する機会に恵まれているので,
今まであまり気付かずにいられたようなのですが,
ヨーロッパでは日本に比べて,構造設計者の社会的地位(=フィー)は高めですが,
建築家の地位もかなり高い所為か,社会に於ける建築というものの意味合いが違う所為か,
構造設計者との関係性は日本に比べて軽視される傾向にあるのかもしれません.
それに伴って,構造設計者が提供しているサービスも,少し種類が違うのですが.

個人的には,やはり,お互いに尊敬しながら協働できる関係が望ましいなと思います.
こちらも人間ですので,馬鹿にされればやる気も低下しますし,
褒められれば,頑張っちゃおうかな,と思ったりするのです.
勿論,こちらもプロなので,やることはちゃんとやりますけれども.

建築家は,デザインを考えるのも大切な仕事ですが,
チームの士気を維持するのも大事な仕事の一つだと思うのです.


甘えかな.



同じ文書の,イギリス発行版とドイツ発行版を見比べてみると
レイアウトが全然違うことに驚きます.

表紙を見た時に,イギリス版は,ぱっと見て何がタイトルかわかりますし,
目次を見ても,構造がぱっと見てわかるようになっています.

それに対してドイツ版は,
どれも同じような大きさの同じような太さの文字で,
文字列の先頭も揃っていて,
どこに大事なことが書いてあるのか,ぱっとみて大変わかりづらいです.

1. Allegemein
2. Grundlagen
2.1 Literatur und Programm
2.1.1 Norm
2.1.2 Literatur
2.1.3 Programm
2.2 Material
2.2.1 Beton
2.2.2 Betonstahl
2.2.3 Spannstahl
2.2.4 Baustahl
2.2.4.1 Ueberbau
2.2.4.2 Unterbau
3. Plaene
4. Belastung
4.1 Eigengewicht
4.2 Auflast

こんな感じ.正直とっても見づらい.
でも,ドイツ語母語の人に言わせると,揃っていてきれい,だそう.

彼らの作る文書は,章立てがあまり論理的でないものが多いですし,
彼らの思考はあまり組織だっていないのかな,と想像してしまいます.



担当していたスタジアムのコンペが2位だった.
一般の人に対する受けは一番よかったらしいのだけど,そんなことを言っても始まらない.
ちょっといい感じに進んでいたので,残念.


スタジアムと言えば,東京では国立競技場のコンペが行われていて,
一次通過案が発表になった.
http://www.jpnsport.com/
大きくて派手だなあ.

最近やっている仕事が,能力不足で辛かったので,凹み気味だったのだけれど,
人間がこういうものを作り得るのだ,
しかもそれを,知っている人たちが作り上げているのだ,
と思うと,そんな小さなことは吹き飛ぶ.

突然大きなものに行ったりはしない.
全ての,時に小さくも見える積み重ねが,そこへ到達させるのだ.


新しいプロジェクトも来て,
気持ちも新たに頑張ろう,という気持ち.


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