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日本の建築作品は,海外に比べて極めてスレンダーなものがあります.

これが何故日本で実現できるか(或いは海外で実現しにくいか)というと,
施工精度や,ゼネコンの質の問題,職人気質,ということも勿論ありますが,
建築のアイディアの作り方の違いも挙げられるように思います.


日本では大抵,建築家とエンジニアが大学で建築学科という括りで共に学びます.
よって,日本の建築家は海外の建築家に比べて,構造や設備に関する基礎素養が高く,
コンセプトの段階で構造(や設備)と協働するのにスムーズです.
そして,単純な構造による構成でコンセプトを作る癖がある人が比較的多いように思います.

単純な構造というのは,一般的な構造,というのとは違います.
時に(しばしば?)特殊な構造を用いて,できる限りまでシンプルにすることによって,
構造要素をぎりぎりまで絞ったりすることが可能となったりします.
その為に,たとえばスペースが所謂既存の気持ちの良さから少々逸脱しても,
そこには目をつぶる,或いはそこに新たな可能性をかける覚悟で挑む訳です.


一方海外の建築家は,室内の空間の質を極めて重視します.
そこをコンセプトを作る時の主題に持ってきてしまうので,
コンスタントに気持ちの良い空間を作り出せる一方で,
想像を超えた空間を作り出そうという方向にはなりにくくなります.

そして,その建築家の想像範囲内の気持ちの良い空間を実現するために
構造はアドホックなものになっていくので,
構造設計者もそれをプロセスの上でも覚悟して余裕を見込みますし,
力の流れがスムーズにならない隠れアクロバティックがあちこちに出てくるので,
構造体自体もぶくぶくしてきてしまいます.


何を評価関数として最適化を図るかということに似ているかもしれません.

#例えば橋梁のように,空間の質が評価関数になり得ないものでは
#構造が優先的に最適化すべき対象となり
#構造的に美しい橋が多く実現されることになります.


確かにヨーロッパの住宅の室内は,所謂気持ちのいい空間が多く,
一般的に空間に対する目も高いように思います.
それでいいじゃないか,と言われたら反論しにくい点ではあります.
が,個人的には,そればかりではつまらないな,
見たことのない価値を見てみたいな,と思います.
経験したことがなく,未だ誰も想像できない空間でも,
面白い空間の質もあるかもしれない,
それはもしかしたら100年後の常識になっているかもしれない.

そして,それを見出す為に構造が関われるなら,なお面白いなと.



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