藤本壮介さんがオープンデスクについて語っていて,話題になっているようです.
http://www.dezeen.com/2013/06/05/unpaid-architecture-internships-in-japan-are-a-nice-opportunity/
日本の建築業界では,学生のオープンデスクは給料が出ないのが一般的で,
作業と引き換えに経験が得られるという考え方です.
無給であっても学生としては建築家の事務所を覗いてみたいものでしょう.
寧ろ無料で覗かせてもらえるなんてラッキーというくらいで.
私も学生の時分には,オープンデスクに行ったりしました.
知らないものばかりで,楽しく通っていた覚えがあります.
ただ,これはヨーロッパ社会から見ると,搾取に見えるようです.
ヨーロッパでも学生によるインターン制度はありますが,給料は支払われています.
ボランティア活動でない限り,無給の労働という考え方がないのだろうと思います.
日本の建築家(アトリエ)業界一般に,
お金の為に働いているのではない,という考え方があるような気がします.
それはそれで尊い考え方だと思いますし,自分自身も多分にその気がありますが,
それを美徳として業界全体としてそこに甘んじている限りは,
社会の中で経済活動として十全には認められにくいというのも事実かもしれません.
どんなに身を粉にして,自分の給料を削って働いても,
そんな事は業界の外の人にはわかりづらいものですし,
年収が低い職業というのは,社会的地位が低い職業,ということになりやすいものです.
ただ,日本の場合,サービス残業が業種を問わず見られるように,
労働がお金の上での対価と見合わないのは建築業界だけではなく,
お金という価値に現れないサービスというものを社会全体として高く評価している風潮があるように思われます.
そういう社会の中で閉じている限りは,あり,なのかなとも思うのです.
ただ,今後建築業界がもっと「グローバル」になるのだとすれば,
世界の文化的スタンダードに合わせていく必要もあるのかな,とも思います.
何れにせよ,現在の質を保ったまま学生インターンにも給料を払うとすれば,
最終的には施主がその分のお金を負担する(設計料が上がる),
つまり,社会として建築単価が上がることを覚悟する,
ということです.
その為には社会のコンセンサスが必要だろうと思います.
自分が設計事務所を運営する側だとして,
他の事務所が無給のオープンデスクで質を上げている一方で
自分の事務所だけインターンにも給料を払うというのは,リスキーです.
自分が学生だとして,
他の学生が無給で経験を積んでいる一方で自分だけ給料に拘って経験を積まないなら,
それはやはり何がしかのリスクを伴うでしょう.
今後,学生インターンを無給でなくするとするならば
(それはヨーロッパ文化と歩調を合わせる為に?そんなこと必要なのか?)
社会の承認を受けた上で足並みを揃えて有給にする,しかない気がします.
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