Sergison Bates architectsのJonathan Sergison氏の講演会に行ってきました.
このオフィスは,ロンドンベースで,チューリヒにもオフィスがあり,幾つかスイスでもプロジェクトをやっているそうです.Sergison氏自身は現在メンドリジオで教鞭を取っているようです.
彼のプレゼンは,彼らのロンドンやジュネーブ,アントワープ,ウィーンでのプロジェクトを見せながら,彼がどういう点に注意を払って設計を行っているか,を話していました.
プロジェクトひとつひとつについて順番に説明する,のではなく,あるテーマ(例えば「建物と建物の間」)に沿って,関連した写真を見せていくやり方で,その建物を理解しようとしてじっくりスライドを見ようとすると,すぐに次のスライドに移ってしまう,捕まえようとすると逃げてしまうようなプレゼンでした.実際彼は何度も,間違えて?故意に?次のスライドにクリックしては戻るということをしていて,それもそういう印象を作る一因だったかもしれません.
彼らの建物の特徴は,平面の形が矢鱈と複雑なことです.ひとつには,彼らの実務経験がロンドンの住宅から始まっていて,それは(ヨーロッパ人には)とても小さく,平面を最大化するには敷地に合わせた格好にならざるを得ない,畢竟不整形になる,ということから来ているのかもしれません.
外形,ファサードについては,町との調和,歴史の参照(特にロンドンのタウンハウス)について話していました.
ディーナー・ディーナーの長方形だけでできている平面を対照に挙げて,彼らがどうしてこんなにきっちりと設計するのかわからない,と言っていました.或いはオルジャッティが君の設計はアナログだと言うけれど,どこがそんなにアナログなんだろうか,とも.因みにプレゼンに使われた図面は手描きでした.ただ幾つかのヴィジュアリゼーションは普通にCGで使われていたので,敢えて手描きの図面をプレゼンしたのかもしれません.
プレゼンは英語で行われました.どうにも,言っている内容とやっていることがずれているように感じられました.ブリティッシュイングリッシュに対する私の勝手なイメージかもしれませんが,アイロニカルに,婉曲的に,ものを言っていて,その機微を私が汲み取れなかったのかもしれません.
断面がスライドに顕れることはなく,完全に平面で設計を行っているようでした.レクチャー後に,平面には不整形が多用されているけれど,断面は鉛直ばかりなのか,と聞いたら,今のところそうだね,と言った後,用事があるからと言ってどこかに行ってしまいました.
プレゼンの仕方も含め,分裂症的な印象の残るプレゼンテーションでした.
ちょうど90度について考えていた折でもあり,こういう設計のやり方について興味深かったです.
長方形平面は,少なくとも直方体の家具を置くなどの意味では「効率的」です.そして,施工の上でもやりやすい.でもそれは,私達の世界の把握の仕方が,直交座標系に依っているからなのではないだろうか.例えば毎回,例えばその壁を基点にしたローカル座標系で考えるなら,全く別の構築があるのかもしれない.などと考えていたのでした.
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