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個人的には,慰安婦像も天皇の写真を燃やす映像も,アリだと思うし,そもそも抗議する根拠にも同意しないし,脅迫するなんてもってのほかだと思う.ただ,運営する方々のことを考えると,テロに屈する形で中止する判断も理解はできる.残念だけれど.

しかしここでは,もう少し冷静に考えてみよう.

そもそも問題になっているのは,慰安婦像と昭和天皇の肖像写真を燃やす作品であるようだ.「日本人の心を傷つける」らしい.

慰安婦像に関しては,そもそも現在日韓の関係が悪化している真っ最中であり,韓国が慰安婦という日本の過去の過ちにかこつけて賠償を迫るのに加担する,ということらしい.国家間での賠償は少なくとも日本側の見解としては済んでおり,それ以上にどのようにやりとりするかは高度な外交問題だろう.しかし,慰安婦像が表現している慰安婦という人々を作り出した過去自体は変わらない.今生きている大半の日本人はその当時生きていなかった人だろうし,自身の過ちではない訳だ.過去の日本人が犯した過ちを認めることが,そんなに心を傷つけるのだろうか.過去の過ちを直視できない国であるという恥の方が余程心を傷つけはしないのだろうか.人間というものは弱く,戦争のような非常事態には残酷なことも当たり前のように為してしまうものだ.その戒めを再確認することが,国を貶めているだろうか.

昭和天皇の肖像写真を燃やし踏みつける作品については,自分はもっと驚いた.天皇を日本そのもの,ひいては自分の一部と捉える人がそんなにいるんだろうか,今の日本には.誰の肖像写真であれ,写真が燃やされたり踏まれたりするのを見るのは気持ちのいいものではない.けれど,昭和天皇の担った政治的役割を考える時,それは個人の写真以上の意味を持つのは明らかだろう.タブーとしての天皇に切り込んだ作品の筈だが,天皇のタブー化は40年前よりずっと進んでいるように感じる.(そもそも私は陛下とか御真影とかお言葉とかいう言葉を遣うことにすら違和感がある.)

しかし,である.実は現実世界では,それ程ファナティックな人達の割合は多くはないのではないだろうか.今回展示を中止に追いやったのは,炎上をさせること自体を楽しんでいる人,抗議自体がしたい人,そもそも展覧会に行ってすらいない人たちなんではないだろうか.

そしてそれは,翻って逆の意味で自分もそうなのである.

少数の声の大きな人たちのファナティックな行動で,世界の動きが決まっていってしまう.そのこと自体に苛立って,自分もつい短慮で抗議の声を上げたくなってしまう.一人一人の声がすぐに世界に届くようになってしまった結果,短慮で感情的な意見が社会を動かすようになってしまう.まさにポピュリズムの悪い面である.

社会がファナティックに流されることに心を痛めようとも,自分だけでも静かにすべき,なのか.それとも微力ながらも自分の望む方向へ近づくように声を上げるべきなのか.
静かにする,ことは,すぐに,考えないことにする,になってしまうのではないか.
食べ物で人の身体ができているように,見聞きし読んだことで自分の考えができていくとすれば,目にするものを厳選すべきなのだろうか.それは,自分と同じ方向性のものばかり集めることになってしまいはしないのか.


SNSで,書いてから早くても3日後にしか公開されない,しかもその間は編集できる,というサービスにしたら,少しはましな言説が見られるかもしれない?

発言する前に一呼吸置く.言葉は常に丁寧に,を心掛ける.
そんな当たり前のことから始めるしか思いつかない.


菊地成孔なら,音楽が救うと言うんだろう.ビューティーを世界に.




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