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神田松之丞という講談師が2月に真打昇進して,神田伯山になった.
それで興味を持って,落語や講談の動画を見ている.

中村仲蔵という江戸時代の歌舞伎役者の工夫の話.いくつかの名人と言われる落語家の噺も聞いたが,神田伯山の講談を初めに聴いたので,そのバージョンが一番しっくり来る.

工夫で困難を乗り越えて周囲を圧倒し説得していくその姿.伯山が襲名披露初日に選んだのも頷ける.
一度生で観てみたいなあ.



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僕はね、ともかく、もうちょっと、残りますよ。
僕はね、仕事があるのだ。
僕はね、ともかく芸人だから、
命のとことんの所で
自分の姿を見凝め得るような機会には、
そのとことんの所で
最後の取引をしてみることを要求されているのだ。

僕は逃げたいが、逃げられないのだ。
この機会を逃がすわけに行かないのだ。

プロジェクタを買ってみました.今までテレビのない生活をしてきたので,大きな画面は新鮮です.少しファンの音と,再生の音質は少し気になるけれど.

最初に映してみたのは,Wim Wenders の "Pina" でした.昔,映画館で3Dで観て,先日ROSASの公演を観た後に衝動買いしたDVDです.

まだ大学生だった頃,ピナ・バウシュはまだ生きていて,大学では彼女に関する授業もありました.でも,コンテンポラリーダンスを観たこともなかった私は全然興味が無くて.私が踊るということに興味を持ったのは,田中泯さんがきっかけだったかもしれません.

ピナ・バウシュの革新性は,バレエと演劇を融合して,タンツ・テアターという概念を確立したことだそうです.コンテンポラリー・ダンスの流れを体感していないので,その新しさについてはよくわからないけれど,彼女の表現する,愛の虚しさや不安,季節の喜びは,とても伝わってきます.
映画によれば,ピナはとてもしなやかで魅力的な人だったようです.


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ROSASのケエスマイケルはピナの後継と言われることもあるらしいけれど,全然違う印象がある.ピナ・バウシュが生の感情を表現しているのに対して,アンネ・ケエスマイケルは客観的な身体や生の動き,幾何学性,人生の俯瞰した際のモノ性を表現しているように思える.因みに田中泯のオドリには,自然の一部としての人間,生きるということの瞬間的なモノ性を感じる.

もっとほかの人の踊りも観てみたい.

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ダンスを観る時いつも思うのが,自分の身体を制御するということです.自分の身体は自分のものだけれど,意志で制御しきれない他者でもあり,制御するには膨大な鍛錬が必要です.
自由と,その背後にある意志の力と鍛錬.






「戯れか!」と武蔵が激しかかると、吉野は、自分が弾いていた琵琶の音のいろいろを聴きわけたか、と問う。

 「では、あのー大弦、中弦、清弦、遊弦のわずか四つしかない弦から、どうしてあのように強い調子や、緩やかな調子や、様々な音色が、自由自在に鳴り出るのでしょうか。そこまでお聴きわけなさいましたか」

 不審に思う武蔵に、吉野は、わずか四つの弦と板の胴から、あのように数多い音が鳴りでるのは、不思議なことと言って、白楽天の『琵琶行』という詩を歌いながら、さらに言葉を継ぐ。

 「このように一面の琵琶が複雑な音を生みまする。わたくしは、かむろの頃から、琵琶の体が不思議で不思議でなりませんでした。そしてついには、自分で琵琶を壊し、また自分で琵琶を作ってみたりするうちに、おろかなわたくしにも、とうとう琵琶の体のうちにある琵琶の心を見つけました」

 そう言った吉野は、細い鉈を振り下ろし、琵琶を惜しげもなく、縦に割いてしまった。
 「ご覧(ろう)じませ。この通り、琵琶の中は、空虚の同じでございましょう。では、あの様々な音の変化はどこから起こるのかと思いますと。この胴の中にわたしてある横木ひとつでございまする。この横木こそ、琵琶の体を持ち支えている骨であり、臓でもあり、心でもありまする。ーなれど、この横木とても、ただ頑丈に真っ直ぐに胴を張りしめているだけでは、なんの曲もございませぬ。その変化を生むために横木には、このようにわざと抑揚の波を削りつけてあるのでございます。ーところが、それでもまだ真の音色というものは出て参りません。真の音色はどこからといえば、この横木の両端の力を、ほどよくそぎ取ってある弛みから生まれてくるのでございまする。ーわたくしが、粗末ながらこの一面の琵琶を砕いて、あなたに分かっていただきたいと思う点は、ーつまりわたくし達人間の生きてゆく心構えも、この琵琶と似たものではないだろうかと思うことでござりまする」

 ー武蔵の眸は、琵琶の胴からうごかなかった。

 「それくらいなこと誰でも分かりきっていることのようで、実はなかなか琵琶の横木ほども、お腹(なか)に据えていられないのが人間でございますまいか。-四弦に一撥(ばち)打てば、刀槍も鳴り、雲も裂けるような、あの強い調子を生む胴の裡(うち)には、こうした横木の弛みとしまりとが、ほどよく加減されているのを見て、わたくしはある時、これを人の日常として、しみじみ思い当たったことがあったのでございまする。・・・・そのことを、ふと、今宵のあなたの身の上に寄せて考え合わせてみると・・・ああ、これは危ういお人、張りしまっているだけで、弛みといっては微塵もない。もしこういう琵琶があたっとして、それへ撥(ばち)を当てるとしたら、音の自由とか変化はもとよりなく、無理に弾けば、きっと弦は切れ、胴は裂けてしまうであろうに・・・こうわたくしは、失礼ながらあなたのご様子を見て、ひそかにお案じ申していたわけなのでござりまする・・」


タフになるには、まずタフである演技をすることです。きちんと一生懸命演技をする。ふりをする。そんな演技を長くきちんと続けているうちに、じっさいにタフになれます。ほんとですよ。やってみてください。人格とはほとんど役柄のことなんです。

村上春樹

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