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母から送ってもらった.まだ読みさし.
読むこと自体が目的ではなくて,読んで考えることが目的なのだ,ということに納得がいくようになって,
ゆっくりと大切に読んでいる.

これは大学の講義録.

高橋源一郎さんは好きだ.
文章が好き,というよりも,生き方の真摯さが好きだ.
他の人が何でもなく通り過ぎられるようなことを,自分ができないでいる時,
こういうことで悩んでいてもいいのだ,と思わせてくれる気がするから.

本当にそれが簡単に解決できているならいいけれど,
なんとなく周りに合わせて,解決できているように振舞うのは,やっぱり誠実じゃないだろう.


最初は,スーザン・ソンタグの引用.きれいで強い文章だ.

「人の生き方はその人の心の傾注がいかに形成され,また歪められてきたかの軌跡です.」
「検閲を警戒すること.しかし忘れないことーー社会においても個々人の生活においてももっとも強力で深層にひそむ検閲は,自己検閲です.」
「自分についてはまったく,または,少なくとももてる時間のうち半分は,考えないこと.」
「傾注すること.注意を向ける,それがすべての核心です.」





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骨董商待古庵こと今川の台詞から.
 
----
 
人はひとりで居ても,自分と,自分を取り囲む自分以外――世界とに分かれてしまうのです.世界に対する己の位置づけ――格というのは必ず生まれる筈なのです.
 
(中略)

人間が存在する限り格がなくなることはあり得ないのです.ただ,比較する際の判断基準を社会やら歴史に求めることが出来なくなる時代がいずれ来る,と僕は云いたいのです.

(中略)

個人対世界――個人の内側と外側の世界こそを計って,世界に対する自分の絶対的な格を定めなければ立ち行かなくなるような,そう云う本質的な時代が到来すると,僕は考えるのです.

 
----
 


今川は男女の区別がつかないと言い,京極氏自身がどのように考えているかは別にしても,そのことを理解する人がいるのだ,ということに嬉しくなったのでした.
 

海外に出るとすぐ「日本は」と言いたがる人々をしゃらくさいと思っていましたが,実際に出て見ると,やはり自分の中の日本性なるものを意識せざるを得ないところはあるものです.

本を読む,というのは,時々真実自分に肉薄することがあって,本来はそれ以外は時間の無駄でしかないのでしょうけれど,ワタクシの怠惰からか,そのように本に目を通すことも少なからずありました.特に若い折など.この本も友人にかなり前に薦められて購入はしたものの,なかなか中身が迫って来ずに放ってあったのですが,今がまさにベストなタイミングであったようです.

という訳で,日本の思想.
1957年頃に書かれたとのことで,自然マルクス主義の台頭の強い影響を受けているのですが,その辺りを捨象し骨子だけを取り出せば,50年前に書かれたものであるにも関わらず,依然日本の社会の本質を突いているように思われます.規範や体制が上から降ってくるものであって,それを骨抜きにして運用・適応する能力は極めて高いが,その規範自体を疑う・批判する姿勢が育っていないこと.つい,日本社会の問題をワタクシ個人の問題と重ね合わせてしまう訳ですが,規範の一つ一つを自分の手で作っていくことこそが,今の私に必要なことなのではないだろうか,とか.ヨーロッパに於ては,規範は,生の充溢を支配することはできず,また支配すべきでもない,という精神は基本にあるのに対し,日本ではあっさりと個人生活にまで入り込んでしまっていること.人間の活動や関係が複雑化するにつれ,「である」社会から「する」社会へと移行が求められているが,依然として「である」社会の風潮も強いこと.


残心とは,武道の用語で,一つの動作を終えた後にも緊張を持続する心構えのこと.
或いは,ある人生の先輩によれば,料亭のおかみがお客が帰った後を見送る心持ちのこと.

残心を失くした様を,無残と言うのでしょう.

何かを切り分けた時に,そこから零れおちるものをも見取っておきたい.
生きる上の所作として,残心を忘れずにいたいものです.




さらにもう一冊,辻邦生の作品を.

19世紀末のヨーロッパの都市と宝石とをモチーフに,
辻邦生が美のありようについて描いた6つの短編集です.

パリ,翠玉(エメラルド)
ウィーン,紫水晶
グラスゴウ,紅玉(ルビー)
ペテルブルグ,月長石(ムーンストーン)
ミラノ,ダイヤモンド
どこかにある都市,真珠

この小説自体が一つの宝石のような.


魅せられて,ペリドットを身につけたり,簡単なアクセサリを作ってみたりしました.



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