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週末にロンドンに行ってきました.

憶えている限り,ロンドンは4度目で,もう数えられない程のパリや,一ヶ月とは言え住んでいたベルリンと比べると,大都市好きにしては少なめです.しかも,一人で行ったのは多分初めて.友達と旅行するのは楽しいものですが,一人で旅行すると,全てを自分で決定しなくてはならないので,町とより友達になれる気がします.今回の旅行で,ロンドンがずっと好きになりました.

今までの印象では,パリの女性的な華やかさに比べて,ロンドンは煉瓦造が多く男性的.少し暗くて息苦しい.男性的な印象は今でも変わりせんが,ロンドンにはパリとは少し違うお洒落があると気づきました.背広的なお洒落やモード的なお洒落.パリのお洒落は華やかで,カジュアルに着方とセンスでお洒落する,という感じですが,ロンドンのお洒落はぴしっとお洒落する感じです.そういう人がいる所にちゃんといる,という感じ.場所によっては東京の女性よりもお洒落かも.正直ロンドンの女性はかわいい人が殆どいないのですが,男性はそこそこかっこいい人もいる.
そして,ロンドンのお店の対応は,かなりいい.観光客相手でも.多分,裏側できれいに英語を話さない人を全員馬鹿にしているかもしれないのですが,きちんとしたお店の人はそれを見せずに,総じてジェントル.こちらもきちんとしようという気持ちになります.
パリに行くと,黒人多いな,と思うのですが,ロンドンは圧倒的に中国人が多い印象です.多分住んでいるアジア人もとても多い.だから,アジア人というだけでは観光客扱いされません.日本語も本当に頻繁に聞えました.
ロンドンに行って必ず行くのはテート・モダン.常に展示内容が面白く,アーティスト側の気合も違います.これを抑えておけば大丈夫というような,世界最高峰の水準が保証されている感じ.
テート・モダンに限らず,世界のアートシーン先端の一端を担っているという気合を街に感じます.尖ったお店が成立するのも都会ならでは.スイスにはこういうお店はないんですよね....
ビール党ではありませんが,ビールが美味しい.ワインを頼む気にはなりません.
食べものは,言われる程まずくはありませんが,イタリアなんかに比べるとどうしても見劣りがします.基本的に,まずくはないね,程度.但し,スコーン(クロテッドクリームとイチゴジャムのコンビで)と紅茶は美味しい.珈琲はスターバックスが流行っているのに象徴されるように,基本的にひどいです.
地下鉄の運行は,想像されるよりはずっとスムーズ.本数も多いし,止まっている部分などはきちんとお知らせがでています.地下は複雑ですが,案内がはっきりあって迷うことはありません.多分,そのお知らせや案内を私が読める,というのも大きいのだとは思いますが.チューブは小さくてかわいいし,パリのメトロ程混んでいません.Undergroundのロゴもかわいいですよね.
AirBnbでロンドン在住の方のお部屋に泊まったのですが,スイスに比べると,生活の質は低いです.東京以上のせまさなので,街中に住むならモノを減らして住まないとやっていけないでしょう.仕上も安普請.
コンビニ的なものは,24時間ではなくとも23時位まで開いていたりします.日曜日も18時位までなら開いているお店も多いし,駅の付近では21時までやっていたりもします.便利.

都会に行くといつも,細胞に水が行き渡るような感じがします.都会っていいなあ.安心するなあ.
スイスの人は,山に行くとリラックスするようですが,私は都会に行くと生き返る気がします.
海は海で,大好きで,いつまでもいられますけど.


ロンドンも結構好きになりました.
都会は,東京もそうですが,自分の意思がはっきりしていないと,居場所がないですよね.
また下調べしてロンドンに行こう.

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カンボジア備忘.

ティピカルな観光も悪くない.遺跡三昧.

アンコールワットはその立体構成が素晴らしい.すごい量の砂岩.寺の街,の意.
急な階段.3重の回廊.沐浴.
人は思索する時に回廊空間を要請するのだろうか.
アンコールワットは実は,蛇にそこらじゅう絡まれている.
赤い睡蓮は印象的.昔葉書を送ってくれた友人を思い出す.

アンコールトムの方が僅差でより素晴らしい.大きな街の意.
開かれた感じがあるからかもしれない.
大量の顔に囲まれるインパクト.

何れにせよ,堀に囲まれている.
水と蛇.シヴァよりもヴィシュヌ.
乳海攪拌.アムリタの神話.

東アジア最大のトレンサップ湖.
湖上生活.湖の中を歩く人.ワニの迫力.

樹木に犯されている遺跡は素敵だが,予想の範囲を超えなかった.
壊れたままの遺跡はセクシーである.

療養所の手前の大きな湖.
枯れかけた木々.閉じた睡蓮.幻想的で息を呑む.

伝統舞踊の手の動き.女性の曲線の官能.
密林の中の遺跡たち.

少し遠い遺跡に行く時に車窓から見える村の風景.
乾いた赤い土.米は年に何度でも取れる.蓮の畑.
ひょろひょろのバラックでの,今そこにあるリアルな生活.
路上で煮炊き.街中でも路上でピクニックしている人を多く見かける.
乾季と雨季の水位の差.

人件費が安い.日本語ガイドの方の律儀な真面目さ.
あちこちに残る,内戦の痛み.
たった4年で何百万人も殺害されたクメールルージュ.
ベトナムと中国に対する感覚.

ガイド付きツアーもとてもいいが,
その後個人で巡ると,一層印象が深まる.

料理は辛くないタイ料理といった感じ.
カンボジアの胡椒は世界一美味しいらしい.




友人が来た.彼女はスペイン語が話せるので,一気に心強い.

とは言え彼女にとっても初めての街ということで,ゆっくり目にスタートしつつ,ホテルの周りのミラフローレスをまずは少し歩く.今日は,観光地ということになっている旧市街へ行ってみる.

私のたっての願いで,旧市街へはメトロポリターノなる公共交通機関を使う.Ricardo Palma からJiron de la Unionまで.メトロポリターノは専用道路つきバスである.私は旅先では,なるべくそこに住む人たちと近い行動をしたい.何故か二人で一枚のチケットをまわし使い.リマは車が多く,渋滞が多い中で,メトロポリターノはさくさくと着く.ただし,日本のラッシュ並みに超満員である.超満員ではあるが,スリの雰囲気は無い.何となく慣れてきて,安心な気がする,と言うと,気を緩めるなと叱られる.駅名にはカナダとかメキシコとかある.

ミラフローレスと旧市街は結構遠い.リマは大きな町なんである.

旧市街は,確かにヨーロッパ的街並みである.が,ヨーロッパから来た人にとっては,さして目新しくもない.王宮で衛兵の交代をやっていたのでしばし眺める.コンドルは飛んでいくを演奏している.アルマス広場には,サンクリストバルの丘行きのツアーの客引きが沢山いると聞いていたのだが,一人もいない.衛兵を暫く見てから,取敢えず方針を決めるため日陰に座ろうということで大聖堂に行くと,入場料を取る大聖堂だった.しかもそれ程見る価値は無かった.しかしレストランなど目星をつける.

まずは友人のナスカツアーの予約の為,観光案内所へ行く.観光案内所ではツアーの案内はやっていないので,ツアー会社に行くように言われる.序でにサンクリストバルの丘ツアーについて聞くと,最近交通事故があって死傷者が出た為,ツアーは中止になっているのだそうだ.とても残念.しかし友人はかなり安心したようである.アルマス広場に面した建物に入っているツアー会社に赴く.友人はぺらぺらとスペイン語で何やら尋ねたり交渉したりしているようだ.すごい.日本より安く予約できたとのことで,喜んでいた.

取敢えずお昼ごはんかということで,TANTAというレストランに.寿司に見立てた料理や,豆チャーハンなどを食べる.一皿が多い.

共通の友人の近況など話し込んでしまい,見学の一つもしようということになって,サンフランシスコ修道院へ行く.10SOL.既に本日最後の英語ツアーにぎりぎりで滑り込む.背の小さくて,スペイン語訛りのかわいい英語を話すガイドさんが一生懸命案内してくれる.ケベックから来た女性二人と一緒に聞く.古い図書館.400年前の書物.修道士の生活を思う.幾何学模様のタイルや木組みは,イスラムの影響だとか.古いものも新しいものも,比較的ラフに見せてくれる.一つ一つ引っかかってしまうが,ガイドさんがフォロミーとしきりに言う.この修道院にはカタコンベがある.実はカタコンベを観るのは初めてである.身分の高い人たちがここに納められているそうだが,大量の骨が部位別に整理整頓され,頭蓋骨も装飾かのようにきれいに並べられている.作り物ではなく本物の頭蓋骨が,ガラスの隔てもなくずらっと目の前に並んでいる.結構すさまじい光景である.

地下から出てツアーを終えると,既に辺りは薄暗くなり始めている.せめてサンクリストバルの丘を遠くから眺めようということで,川岸まで行ってみる.スラム街だと言われている中腹の家々が光り始めてきれいだ.観光地が閉まる頃合で,沢山の人たちが橋を渡って川向こうに帰ろうとしている.その大きな流れが妙に印象的である.流れの中に,先程のかわいらしいガイドさんがいて,向こうから挨拶してくれる

旧市街はこれくらいにして,メトロポリターノに乗ってミラフローレスまで帰る.帰りの駅がわからなくて少し慌てるが,親切な人が教えてくれる.結局,旧市街はヨーロッパを見慣れている目からすると,何を見ていいのかよくわからなかった.メトロポリターノは渋滞がなくて便利.

夕飯は,Panchitaへ.5月2日通り沿いには,美味しそうな店が多いが,ここは料理人ガストン・アクリオのアンティクーチョに特化したお店.予約なしで入れてラッキー.店内もお洒落だし,ここはこれまでに食べた中で一番美味しい.また来てもいいと思えるくらい.

ホテルまで歩いて帰って就寝.明日はクスコへの移動である.


ゆっくり目に起きるペルーの日曜日の朝.道を走っている人が沢山いる.何かのレイスだったのだろうか.ホテルのWiFiが通じない.まあそんなこともあろうかとは思ったが,ここでは電話も通じないので,本当に隔離されたような気分になる.さらに,コンセントプラグのC型が使えず,A型オンリーである.これはまずい.ホテルでくれた地図がまるで使えない代物だったので,というか,リマは大きすぎて観光用の地図が準備できないのだろうが,電子地図が命綱なのだ.取敢えずアダプタを入手せねば.

ホテルをチェックアウトしようとすると,ネットが通じないのでカードが使えません.ドルでの支払いならできます.ATMでおろしてきてくれませんか?と言われる.ユーロの現金は持ってきていたが,ドルは持ち合わせが無く,ドルを使うのは癪な気がしたので,空港で降ろしたソルの現金で支払う.既に心もとない.ホテルの前の銀行で降ろしなおす.

観光客が全員行くというLarco Marに行く.電気屋があると聞いたので.街の大きさの感覚がわからなかったが,歩いてみると30分くらいで着く.歩いてどこかに辿りつく,という感覚は悪くない.道中は海岸の道を行く.リマの海岸はとても印象的な崖だ.海蝕崖らしい.切り立った壁がずっと続く.美しいが,このお陰で街と海とが分断されている.海岸だが,海が冷たい為に雨が少ないのだとか.通りで乾いている訳だ.

目的地に着いてみると,概ね服やとレストランしかない小さなモールだった.電気屋の場所を尋ねるが,まず英語が通じない.コンセントはここだよ,とか親切に教えてくれるのだが,欲しいのはそれじゃない.何故だかこちらの英語も妙にたどたどしく単語の羅列みたいになるから不思議だ.辛うじてapple storeを見つける.きっとここはお洒落モールなんだろう.なんとかA型コンセントのUSBアダプタを入手.A型コンセントは日本でも使えるから,まあいいか.取敢えず充電できることになって安心したので,海を見ながら朝ごはん.コーン粉を練ってバナナの皮で包んだTAMALを頼む.美味しい.そして,期待していなかったが,コーヒーの味がまともだ.海とコーヒーと美味しい食事で,随分気分がよくなる.

海辺なので海まで降りてみようかと思ったが,崖の途中までしか降りられないようになっている.今日の夜には友人が到着するから,友人の興味の無さそうなものを潰しておこうと思い,内容がよくわからない断崖の美術館に行ってみることにする.少し距離がありそうだったので,タクシーを使ってみる.流しのタクシーがある所が日本っぽい.美術館は割と辺鄙な場所にある.降りる時に運転手さんが,30分後に迎えに来てあげるよ,あそこの道路の所で待っている,と言う.言ったのだが,スペイン語がわからないので,入り口の場所を教えてくれていると思い,そちらに歩き出してしまう.運転手のおじさんが,戻ってきて,違う違う!入り口はあそこ!30分後にここで会おう,と言いなおしてくれる.私は海に行くつもりだったので,礼を言って断る.

Lugar de la Memoria, la Tolerancia y la Inclusion Social という美術館.
Barclay & Crousse Architecture という建築家の2010年の作品らしい.崖の中に入り込んだように建っている.大きな建物ではないが,その建ち方やコンクリートの黄色さ,ディテールの荒さと構成のダイナミックさが特徴.空気を遮断しつつ光を取り入れる工夫があちこちにされている.建物の中もスロープや段差が多用されていて,順路に従うと最後は屋上に出て海を眺めるようになっている.展示内容は1984年からのペルーの政治体制や社会の変遷のようだったが,スペイン語のみなのでよく理解できず.ただ,30年分の内容が既に一つの美術館になるくらい,この国は激動の時期をつい最近まで過ごしてきたのだなと思う.因みに入館時にパスポートを見せる必要があるが,無料.みな熱心に展示を見ていて,観光客らしい人はあまり見当たらなかった.理解していない自分が申し訳なくなる.

美術館の人に,海に行きたいのだが,と尋ねると,行けません,と答えられる.何故?と聞くと,危険なのだと言う.でも人がいましたよ?とさらに聞くと,英語はうまく話せませんが,危険なんです,と答えられる.よくわからなかったので,礼を言い,海の方角へ歩くことにする.

なるほど.確かに危険だった.兎に角,車道しかないし,車がひっきりなしで,しかも走るスピードがとても早い.イメージとしては高速道路を歩いているような感じ.リマは,町と海岸とが崖によって本当に分断されていて,車でアクセスする以外の道がとても限られているのだ.たまたま同じように道を歩いて海岸に行こうとしていたカップルと一緒に,今だっ!渡れ!などと言いつつなんとか海岸まで歩く.石海岸だ.遠くにはサーファーもいるようだったが,人気は少ない.まだ20度くらいの春だし,そんなものか.カップルに礼を言って別れ,石海岸に腰掛けて,海を見ながらしばし読書.曇っているのにじっとしていると日差しは強い.コートを被って日陰を作り,熱い石の上に寝転がりながら本を読む.海の音が聞えるし,気持ちがいい.時々石を海に投げたりする.因みに気持ちはよかったが,この時頭皮が日焼けして大変なことになった.

帰りはどうしたものか,取敢えずもうちょっと先まで行って,捕まえられたらタクシーを捕まえようか,と出発する.暫く歩いてみると,海に突き出している部分があったので,行ってみる.蟹がうじゃうじゃいる.そこから振り返ってみると,もう少し行った所に,歩いて登れるスロープがあるようだったので,安心する.幾つも道路を渡る橋の計画はあるようだったが,まだ建設途中のものばかりで,観光地区範囲で利用可能なのはこの橋だけのようだった.

500m程登る.地図のGPSが切れて,現在地がよくわからなくなるが,適当に歩いていたら素敵なカフェがあったので入る.そこでWiFiが繋がる.店員の着ているTシャツがかわいく,コーヒーもおいしそうだったが,暑かったのでジンジャージュース.美味しい.取敢えず素敵なカフェさえあれば気分は上々だ.

そこから織物美術館が近かったので,行ってみようかとも思ったが,考えを変えてバランコ地区にタクシーで行く.この頃には色々慣れてきている.バランコ地区にあるMario Testino Museum へ.マリオテスティーノは有名なVogueのペルー人写真家だそうだが知らなかった.チケット売り場の人が突然日本語を話してきたので,一瞬わからなくなる.リマに着いて以来,初めて言葉が通じた.気が楽になる.そして,展示が素晴らしかった.後半の民族写真も興味深くはあったが,大量のファッション写真が怒涛のように使われていて,本当に圧巻だった.お洒落したいなと思わせられた.狭い美術館ではあるが,鏡張りの部屋で,かっこいいアフロの女性が一眼レフで写真を撮っていたのが様になっていて,つい,あなたの写真を撮っていいですか?と尋ねて撮らせて貰う.彼女は嬉しそうに,私のカメラでも撮って,と言った.

満足して,バランコ地区をぶらぶらする.18時くらいでもう既に暗い.赤道に近いんだった.お店が閉まりかけるのを気にしながら,幾つかのセレクトショップを覗く.友人の出産祝いを購入する.日曜日で閉まっているお店も幾つかあったのが残念.嘆き橋の辺りは観光客もいっぱい.この壁画クールだろ?と通りがかりの人に自慢される.壁画がクールかどうかはともかく,こういうお洒落な地区があるから,都会は好き.

バランコ地区は海にも面している.太平洋の夕焼け.日本と反対側.日が落ちて暗くなってきたので,タクシーでミラフローレスまで帰る.流石に一人で乗り合いバスは怖くて乗れない.

ホテルにチェックイン.魚が食べたかったので,美味しいレストランを聞く.日曜日もやっていたAlfrescoに行く.初セビーチェ.美味しい.ワインも頼んだのだが,値段の割りに味もイマイチで,ペルーでワインを飲むのはやめようと思う.ワインに関しては,イタリアのような訳には行かないね.一品でもうおなかがいっぱいになってしまい,会計を頼む.ウェイターさんが,一品だけー?と聞いてきたが,無理はしない.

ホテルに戻って疲れてうとうとしていると,友人がやってきた.ほぼ一日がかりのフライトの末に.60歳からの外国語修行,を読みながら.



アムステルダムを経由して,リマに向かう.飛行機で席につこうとすると,既に女の子が座っている.あ?来ちゃった?みたいなお茶目な顔をするが,ロングフライトでは窓際の席に座りたいので,自分の場所に戻ってもらう.彼女はドイツに遊びに来ていたペルー人で,その隣はスペイン語も話すドイツ人だった.ペルー人に,ミュンヘンはペルーと何が違った?と尋ねると,車が少なくてきれい!とたどたどしい英語で答えた.私は何しろ徹夜続きで飛行機に乗っていたので,スイッチをぱちんと切ったように眠り,時々起きた時は神木隆之介の三月のライオンの後編を観た.どうも食事はスキップしてしまったようだ.飛行機は大して揺れなかったと思うのだが,リマに到着した途端,隣の彼女が吐いた.私は自分の乗り物酔いがひどいので,自分が酔っていない状態で誰かが吐くのを見るのは,多分初めてだったかもしれない.とても驚く.2つ隣のドイツ人が親切に介抱している.さらに驚いたことは,彼女になんの前兆も無かったことと,彼女の吐瀉物が全く臭わなかったことだ.飛行機が止まっても,降りるまでは待たねばならない.やっと,私も何かできることを,という頭になって,道を空けてもらってトイレに行くように言う.

入国審査の列での,ペルー人の距離の近さに,既にスリかと焦る.が何も無かった.荷物もスムーズに出てきた.

空調管理された空港を出た時の,その空気は,どんなガイドブックでも今のところはわからない.初めての南米大陸はリマで,そこの空気は,日本ほどではないが,スイスよりはずっと,水気を含んだ空気と排気ガスの臭いだった.海が近いのだ.

海が好きだ.海が好きだ.地球上で,一番大きいもの.

一人きりで知らない街に夜,降り立つ.半ば予想していたことではあったが,予約していたタクシーは来ていなかった.そもそも予約作業の時点で,ウェブが機能しなかったり,返信が来なかったり,既に異国感はあったのだ.仕方なく,タクシーの客引きの人と話を始める.値段の相場がわからない為,オフィシャルタクシーとの比較交渉などを行う.結果的に初めに話しかけてきたウベールというおじさんが言っていたのは,相場の値段の60ソルで,ホテルが言っていた80ソルよりも安い.疑って申し訳ないことをしたと思うが,スペイン語が話せない為謝罪の気持ちを表せない.

ホテルの住所を見せ,黙って1時間ほどの道のりを走ってもらう.窓から見える街並みは,レンガ造りの四角い箱状の建物でできていて,見た目は乾いている.途中,海沿いの道を走る.ウベールさんが「パシフィコ」と言う.太平洋に会うのはいつぶりだろう.太平洋の反対側.道路事情に疎い街の時,予め交渉したフィックスプライスでタクシーに乗ると気楽だ.道が違おうが渋滞だろうが,関係ない.海沿いの道から上がって町に入ると,高層ビルが建っている.ファサードはきれいなものもあるが,やはりどこか乾いていてざらっとしている.建設途中のビルの,荒いレンガと,ひょろひょろ鉄筋の鉄筋コンクリート.東京のぴかぴかの高層ビルとは違う.ここにだって地震はある筈なのに.

ホテルに着き,ウベールさんに連絡先を貰う.いい人のようだったし,何かの時のために.結果的にその後,彼には散々お世話になることになる.
ホテルに着くと,荷物を運んでくれる人がいる.まともなホテルでは当り前なのかもしれないが,そういう人にスマートにチップを渡す方法がわからない.

荷物を置いて,夕飯を食べに街へ出てみることにする.フロントで聞いて,まずは近くのスーパーに寄り,水を入手.大きくてきれいなスーパーだ.店が遅くまで開いているのが嬉しい.土曜日の夜.一応繁華街ということになっているから,大丈夫な筈と信じる.空気が汚い.古い車が多いのだ.初めての道の往路は,いつも長く感じる.が,だんだんと慣れてくる.どうやら歩いたのは観光客相手の繁華街だったようで,英語メニューが必ずあり,どの店にも客引きがしっかりいる.初めての大陸なんだから,その位の緩さがちょうどいい.適当な店に入り,ピスコサワーを頼む.甘い.思っていたより物価は安くない.小腹が空いていたので,チーズ春巻きのアボガドディップを頼む.普通に美味しい.歩いてホテルまで戻る.

一日目終了.


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