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ご無沙汰してしまいました.

躯体ができあがると,上棟式という儀式をやります.
日本でもありますが,こちらでも同じような儀式があります.
Richtfest と言います.

伝統的に日本では,棟梁が屋根の上から餅を投げます.
予め他人に幸福を分け与えることによって,
自分の将来の幸福を確保しよう,という考え方です.
こちらでは,伝統的な祝詞的なものをZimmermannが唱えた後に,
高所からワイングラスを投げて割ります.
予め不幸を先取りして,将来の幸福を確保しようという考え方だと思います.

建築というのは,どこか霊的なものが宿るものです.
わかっている全ての知識を注いで,過ちなく作られたとしても,
やはり想定されているものより大きな災害に見舞われたり,火事に見舞われたり,
そういうことは起こりえます.
これから長い時間を生きていく建物に,幸福を祈る気持ちはどこも共通しているようです.


ようやくこちらで仕事を始めて最初の Ricchtfest に出ることができました.
そこそこスパンを飛ばしているRCの建物なのですが,
怪我人もなくここまれ来られて感無量です.




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実質的な作業として構造エンジニアが行うのは、概ね

建築家等と話し合いながら、コンセプトを作る
計算して各部位の寸法を決める
建設手順を考慮してディテールを検討する
スケッチ等にして、ドラフトマンに指示を出す
ドラフトマンの描いた図面をチェックする
現場で、図面通りにできているか監督する
現場の職人さんに、意図を説明したりする

のような感じです。
勿論その都度、
建築家等と話し合って、フィードバックを反映する(イタレーション)
という作業も入ります。

多くの場合、実際に図面を描いてくれるのはエンジニアではなくドラフトマンの方です。
因みに、建築家の事務所では、図面は大抵建築家の方々が描いています。
それもあって、エンジニアの人数に対して、
同じ建物に関わる建築家の人数はかなり多くなります。
さらに、大抵の場合、エンジニアは幾つかのプロジェクトを同時並行で担当しているので、
実質的にその差はもっと大きくなります。
ですので、建築家の方が、何かを突然依頼してきて
明日までに返答を、と言われたりすると結構困ります。


それはさておき。

鉄筋コンクリート構造の建物について、スイスでは
構造設計者が会社として描く図面は、型枠図と鉄筋図です。
鉄骨造や木造の場合は、予めある部材を加工するので、
製作会社が製作図を描き、それをこちらがチェックするという形になり、
全ての指示を図面(と発注書)で出さなければならない鉄筋コンクリート造の場合とはかなり違っています。

各図面に何を描くべきか、というのが段々わかってきました。
スイスの鉄筋コンクリートを建設する会社は、それなりに優秀ではありますが、
やはり多くの職人さん(しかも多くはドイツ語を理解しない)にわかってもらうには
かなりの気を遣わないとならないようです。
少しでも複雑な部位に関しては、全てディテールが要求される感じ。
しかしながら、こちらもドラフトマンに無限の時間をかけてもらう訳にも行きません。
間違ってはいないけれど、親切でもない図面を上げるだけで、こちら側も精一杯だったりして、
現場に行くと、案の定間違っていたりする訳です。
現場に行く度に予想通りの間違いがあるので、結構へとへとになります。

しかし、図面はラブレターのようなもの。
今は環境が変わったので、提出図面を自分で描かなくなりましたが、
日本で働いていた時には、自分で全部描かなくてはならなかったりして
その時に感じていたことです。
結局、何をどう頑張って考えたところで、
我々は自分でものを作る訳ではなく、
職人さんたちにお願いしてやってもらわなければなりません。
エネルギーを注ぎ込んだかわいい自分のプロジェクトをすんなりと作ってもらう為には
どうぞこの子をよろしくお願いいたします、という気持ちを込めて、
なるべく、わかりやすく、なるべく、やる気の出る、相手の気持ちに立った表現をするしか
我々にできることはありません。

そういう気持ちが、ドラフトマンの方にも共有してもらえるといいのだけれど。

でもまずは、他人に期待しても仕方ないので、
複雑な箇所に関して、かなり詳細にカラフルなスケッチを作ってみました。
これで、少しでも間違いなく施工が進むといいのですが。




以前も書いたような気もしますが、コンクリートの色について。


コンクリートの色は、砂利や砂の色に大きく左右されます。
例えばJURA地区の砂は黄色みが強かったり、地方色が出ます。

さらに、混ぜ物の違いもあります。
日本では、私の知る限り、
構造体部分については混ぜ物は
許可されていないか容易にできないように法規制されているかと思いますが、
スイスではカラーピグメントやホワイトセメントを自由に使えます。
(勿論単価は上がりますが。)

その結果、基本的にとても白いコンクリートが多く、
デザインによっては、茶色や黒のコンクリートも可能ということになります。



建物の現場段階では、
壁があって、その上に来る床がまだできていない、という状況があって、
なんとなくおもちゃの家のような雰囲気がしたりします。
特にこちらの現場でその感じが強いのは、
大抵の場合、柱型がなく、壁構造でできているからなのかな、と思いました。
日本のRC造は、
柱と梁がまずあって、柱と柱の間に壁がある、という考え方が多いと思いますが、
こちらでは、壁と床が基本エレメントであって、
柱は鉛直力を支えるだけのちょっとした補助、或いは短い壁、
梁もスパンが大きい場合の特別な措置(そもそも名前もUnterzugです)
といった考え方のようです。


今日驚いたのは、壁部分の型枠存置期間。
アラワシコンクリートでも、半日で脱型していました。


今日の一枚は、アクロバティックな足場の写真。





スイスのアラワシコンクリートの型枠。



鉄骨のフレームに木の板がついたプロダクトで、これを洗浄して繰り返し使います。
写真に見えている丸い部分は、場合に合わせて穴を開けて、セパレータを通します。

打ち上がるとこうなります。




鉄筋コンクリートの構造を作る時には,
コンクリートを打設する前に,
型枠に対して,鉄筋の位置を保持しておく必要があります.
その為の部材を,日本では,正式にはスペーサーですが,
現場では,その形状から,ダルマ,ドーナツ,ウマ,サイコロ,まんじゅう,などと言います.

ドイツ語ですと,正式にはDistanzkoerper といいます.
が,同じように現場用語があるらしく,Polierさんは,ポック,と言っていました.



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