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年末には,今年一年を振り返る話し合いが行われます.

今年はやっとひとつ,プロジェクトが上棟まで漕ぎ着けました.
(オープンは来年ですが.)
その後ドイツのプロジェクトが進行中です.

今年は自分としては,特に後半,溺れながら仕事をしているような感があったのですが,
上の人は評価してくれたようです.

少なくとも言語に問題のない(少なくとも文句をつけられない)同僚に比べて
手がけている実現プロジェクトの数が圧倒的に少なく,
自分でも歯痒く思いますが,他の部分で補うしかありません.


言語のハンディは小さくなく,
何か問題があった時に,あの人が理解していないから,何を言っているかわからないから,
と責任転嫁される要因にはなりがちです.
けれど,言語自体に問題がない人同士だと,言葉で全部説明しようとするきらいがあり,
結構頻繁に誤解しあっているようです.
言語にハンディのある人は,誤解される可能性を常に視野に入れているため,
スケッチを大量に描くなどして補おうとします.
勿論それを議論の俎上に乗せるのは簡単ではありませんが,
そこまで恐縮しなくてもいいのかな,と思ったりします.


この年度末の話合いの時に,
同じ成果に対してもポジティヴに話せるかどうか,というのは
それなりに重要なのかもしれません.
日本人的気質の所為か?自分の仕事を自分で認めるのはなかなか簡単ではありません.
今年は,ばたばたしているまま話合いに臨んでしまったので,
うまく自分の側で準備しきれなかった(結構ネガティヴに話してしまった)所がありますが,
こちらでは上の人は日本に於ける程下の人の業績を公正に把握しておらず,
自分でアピールするしかないので,
来年はもう少しポジティヴに話せるようになりたいものです.




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自分が担当したプロジェクトではありませんが,
最近結果の出たスイスのコンペ3つ.

Departement Biomedizin der Universität Basel
Architekt: Caruso St. John Architects
article


Naturhistorisches Museum und Staatsarchiv, Basel
Architekt: EM2N
article on archdaily


pôle muséal Lausanne
Architekt: Manuel et Francisco Aires Mateus
article on archdaily


OECDの統計によると,
日本人の年間就労時間は,2014年で,1729時間だそうです.
スイスは1568時間.

日本では,多分いまだにサービス残業があるので,実態とはずれているかと思いますが.

それにしても,スイスの場合でも,週に42時間勤務が基本で,
そうなると普通に2000時間を超えると思うのですが,
フルタイム勤務じゃない人が加味されている,ということなんでしょうか.

確かに,80%勤務とか,60%勤務とか,よくあります.
例えば小さい子の親などは,両親が一週間に4日ずつ働く形態にして(80%勤務),
保育園に3日だけ預ける,というようなこともよくあるようです.


日本人は長く働く,というイメージがありますが,
実は公休が多く,しかも振替休日まできっちりあり,
更に正月休みと盆休みを考慮すると,
有給(うちは年間20日)を加味しても,休暇の日数はそれ程変わりません.


国や文化によって職域は微妙にずれています.
以前記事にした,鉄筋図や型枠図を構造設計者の会社が描く,というのもその一例です.
日本では,工務店さんやゼネコンさんが,生産設計部門として施工図を全て描いてくれます.

耐火設計もその一つです.
日本だと(私の経験が不足している所為かもしれませんが)
構造設計者が耐火について頭を悩ましたり計算したりする,ということはないように思います.
鉄骨アラワシのようなことをすれば,
塗料について注意を促す(耐火ペイントにする必要があるので)
という程度のことはするにしても,それ以上はあまり考えなかったように思います.

しかし,こちらでは,構造物を耐火仕様にすることも,構造設計者の仕事の一つです.
時折,耐火要求から断面が決まってしまうこともあります.
仕様規定を満たしていれば簡単ですが,そうでない場合は,
相応の計算をして確認を行います.

今日はそういう作業の勉強中なのでした.



因みに,もう一つ,かなりの頻度で問題になるのが,断熱です.
こちらはエコロジー意識が高い所為か,全館暖房が基本なせいか,
熱橋(ヒートブリッジ)に対してとても敏感です.
比較すると,日本の断熱基準は,現状ではとてもとても甘いです.
そのお陰でエッジの鋭い建物なども実現できたりする訳ですが.

例えば,バルコニーが片持ちで出ている場合の処理の仕方など,
さまざまな工夫がなされています.
その話題は,機会があればいつか書くかもしれません.



ドイツのプロジェクトが進行中です.
現在,入札書類作成中.

日本から見ると,ドイツもスイスも同じように感じますが,
実際には色々違いがあります.


今感じている一番の違いは,ドイツでは計算書が必要なこと.
計算書を作って,それをプルーフエンジニアがチェックして承認印を押します.
それがないと,建設許可が下りません.
スケジュールとしては,入札書類作成段階付近で,計算書を提出します.
計算書が承認される,ということは,それより以降は変更が難しくなる,ということで,
更には,その段階で,詳細設計がそこそこ終わっていないとならないということです.

こういうことは,日本の設計者にとっては当然のようにも思えます.
日本では,確認申請という制度があり,
確認申請図面と計算書に対して,公的機関からの承認が必要です.
確認申請までに,少なくとも構造は決定していなくてはならず,
それ以降の変更は,全て,変更申請を用意して承認されなくてはなりません.

しかし,スイスでは,計算書を作成する必要がなく,設計者が責任を負います.
スイスの設計者はそれに慣れている為,
早い段階で全てを決めておかなければならない,ということに慣れていません.
更には,計算書を作成すること自体が,作業であり,
時間がかかるということにも認識が薄いです.

ドイツと日本との違いとしては,
日本では入札書類としては,基本的に図面がしっかりしていれば十分で,
数量は入札する側が拾うのに対して,
ドイツでは,設計者側が全てを網羅した文書による書類を準備しなければなりません.
そこで見落としがあると,現場に入ってから施工者から追加コストを請求されます.
この書類作成というのが,なかなか大変です.
日本ではゼネコンさんや工務店さんがやってくれている作業で,
日本よりも設計者の責任範囲が大きいということです.


どの制度にもいい点,悪い点があると言えます.
スイスのように設計をフィックスする必要がない制度では,
最後まで設計改良を重ねることが可能です.
計算書を作成するという作業に対するコストもありません.

一方で,後から第三者が正確に設計者の考えを追うことはできませんし,
実際的な問題としては,計算書を作成する段階で気が付く点というのもあります.


大切なのは,プロジェクトの国でのやり方を知っておくことです.
それぞれの国の人は自分の国のやり方しか知らないことが多く,
他の国の人に説明することが困難で,
しばしば問題が起こっているようです.


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