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桜の時期に帰国しないので,なかなか桜は見られないのですが,
SNS上にはこの時期になると桜の写真が溢れます.

美しいですよね.

実は10代の頃は,桜のどこが美しいのか全然わかりませんでした.
桜に限らず,花全般の美しさがわかりませんでした.
当時は,生殖のために色とりどりに虫に媚びて,気持ち悪い,
と言っていましたが,多分,
みんながきれいと言うからきれいと思いたくない,
という天邪鬼な気持ちが正確なところだったように思います.

誰かがAということに対して,違うんじゃないの?と疑ってかかる,というのは
私の基本的な性質として今もあります.
自分に関係のないことは,あなたはそうなのね,ということでどちらでもよく,
従って受け入れることも簡単なのですが,
自分の態度を決めるとなると,まず疑いから,というところがあります.
それは,実は他人を信じやすい自分の性格の,安全装置,でもあります.

そして,桜.
私は軽度の近視なのですが,ある時眼鏡をかけずに満開の桜並木を観ることがあって,
それは,ぼおっと一体にかかる桜色の雲のように見えて,
あらゆる自分の疑いを超えて,美しかったのです.
あぁ,本当に桜はきれいなんだな,と.
それ以来,一般的な花の美しさについても,許せるようになりました.

そうして,自分の理性を超えて説得されるというのは,ありがたいことです.
だから,私は桜が好き.


桜については,苦手だという人もちらほらいますよね.
知合いは,一度に揃って咲くソメイヨシノが,神経症的で好きになれない,と言っていました.
葉と花が同時に出ないように品種改良され,
全てが同じDNAを持つという東京の桜が気持ち悪い,
というのも,わからないではありません.
暖かくなってきて,浮かれる人々のバカ騒ぎが下品だ,
と言いたくなるのも,わからないではありません.

それでも,
趣向を凝らして季節をより楽しもうとする先人の歌舞く精神も
素直に浮かれ騒ぐ動物的な人の営みも,
私は好ましく思います.

けちくせえこと言うなよ,浮かれる時は浮かれようぜ.


そして,同じようにはっとする程美しい銀杏の黄葉について,
いちいち文句をつける人は聞いたことがないところを見ると,
やっぱり桜というのは文化的に日本人にとって特別で,
木や花としてのありようだけでなく,文化的な背景まで含めて,
人は好きになったり嫌いになったりするものだな,と改めて思うのです.



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夏時間も始まって,今週末はイースター.

例年,イースター頃になるとどこかへふらっと行きたくなるのですが,
今年は仕事近辺が妙にばたばたしていて,日常が十分刺激的で,
少しゆっくりしたいな,などと今のところ思っています.

私の好きなバンドMarillion の曲に,Easter というタイトルのものがあるのですが,
イースターが如何に美しく,歌にしたくなるものかというのは,
日本にいた頃はわからなかったなと思います.
それは,日本のお花見に近いかもしれません.

どこにいても,冬が明けて春が来る,というのは,心楽しいものです.
冬には冬の美しさがあるにしても.





ヨーロッパには寒波が訪れ,雪のバーゼルです.

情報を適切な人にまわすだけでそれなりの仕事量.
つい飲み込まれてしまう.

skypeにて打合せ.
まとまってきて,いい感じになってきている.びしばし.


お知合いの方の家で,秋刀魚のご相伴.
納豆も梅干も鰯ハンバーグも蒲焼も,ご自分で作り,
大根や南瓜を日本から輸入させる手配をし,
そうして海外で生きてきた,日本人の先輩.
新しい方々とも知合いになる.

帰り道には満月.
もう桃の節句だなんて.




数学者の岡潔役に佐々木蔵之介,その奥さんのみちさん役に天海祐希という配役で,テレビドラマが作られました.

テレビドラマに出てくる職業というと,警察(探偵),医者,弁護士・検察・裁判官,の近辺,というのが鉄板で,やはりそれぞれ人生の「ドラマチックな」事件の瞬間に関わる仕事だからだろうと思うのですが,それ以外の職業の人が出てくるドラマも見たいですよね.ドラマというのは業界の関係ない人も見る訳で,ある職業がどういうものであるか,社会に知ってもらうよい機会だと思うのです.学者は多かれ少なかれ社会の合意の元に「すぐには役に立たないかもしれないもの(すみれはすみれ)」へ向かって試みる営為ですから,社会の合意を得ようとすることは,本質的な学者の営為ではなくても,誰かがやった方がいいこと,であり,テレビドラマにしてもらうというのはその一つのいい機会だと思うのです.

全ての数学者が,突然床に数式を書き出したりする訳ではないでしょう.しかしそれは多分,どの職業についても言えることで,建築家が出てくるドラマとして有名なのは,結婚できない男,でしょうが,すべての建築家があんな風に偏屈な訳がありません.ジョン・ナッシュをモデルにしたビューティフルマインドも同じような描写でした.

「育てた女房」というタイトルに反感を覚える向きもあるようですが,岡みちさんも,必要以上に苦労に耐えた,という側面よりは,自分で稼いで,フランス語を勉強して,自分で背筋を伸ばして生きていく女性,という感じが出ていて,好感が持てました.あの当時でしたら,今に比べれば男性に付いていく女性という生き方が一般的だったのは仕方ないことでしょう.
誰かの生き方をドラマとして表現しようとすれば,どうしてもわかりやすい「事件」から表現するか,本人に語らせるか,周りに語らせるか,しかなく,変人,を主人公として扱う場合には,周りの人間に語らせるしかない訳です.職業上の周りの人がいない場合には,家族を通して語るしかない.


岡潔のように生きることは,誰にでもできることではないでしょう.それでも,そういう人を許容できる社会を作っていきたいと思うのです.





今年もファスナハトの時期がやってきました.
ドイツでは Rosenmontag と言い,カーニバルです.
イースターの日曜日の前40日間は断食するというキリスト教の習慣に従って,
断食の始まる前に,謝肉祭を行います.
春の訪れを祝う自然信仰と混じったとも言われています.

バーゼルのファスナハトが少し違うのは,この40日間の数え方.
日曜日を含めるかどうかで,いつが40日前なのかが変わります.
ドイツなどでのカーニバルは日曜日を含めない40日間,
バーゼルでは日曜日を含めた40日間で勘定します.
そのため,ほかの地域よりも1週間遅れることになるのです.

ファスナハトも何度目か.しかも何故かこの時期はいつも仕事が忙しい.
ので,月曜日の朝4時のモルゲンシュトライヒ(ところでこれは必見)にも行かず,
会社が町中にあるので,まあ雰囲気は伝わってくるし,それでいいや,
なんて思っていたのです.
さて夜になり,仕事も区切りがついたので帰ることに.
トラムもお祭りで動いていないので,歩いて帰ることにしました.
ところがどっこい,
去年,バーゼルのファスナハトが世界遺産登録された為か,
今年のファスナハトはなんだかいつもと違ってバリエーションも多く,
ついついうきうき気分に.


ファスナハトの仮面は,総じて異形が多いです.
異形の者たちが大きな音を鳴らし,
いつもの町の風景を一変させながら,町を練り歩いていく.
最近はなんだか苛々しがちだったのですが,
そういう自分の内なる異形の者たちも,町を練り歩く爆音に押し流されたように感じ,
気持ちの上でも春めいてきて.
かわいくもないし,ゆるきゃらでもないけれど,
異形だからこその力を感じて,バーゼルが少しまた好きになりました.



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