忍者ブログ

<< 03  2026/04  1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30    05 >>

×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

マドリッドのバラハス空港(正確にはアドルフォ・スアレス・マドリード=バラハス空港)は
ターミナル4が2005年にリチャード・ロジャースによって設計されました.
ヒースローのターミナル5と同じ設計者です.

これを観るために,わざわざ遠出をしてきました.(私が使ったのはターミナル1でしたが.)



成田の残念さは言うまでもありませんが,
空港で残念なことの一つに,出発の空間は,しばしば大空間で構成され,
旅がこれから始まるわくわく感を演出しているのですが,
到着の空間は,そっけないものであることが多い,ということがあります.
基本的に,到着空間は滞在時間も短めですし,
垂直に出発動線と到着動線を分けようとすると,
どうしても出発動線を上に持ってきてしまうためです.
その結果,ゲートをくぐらないとその空間が味わえない,ということはしばしばあります.

ところがマドリッド=バラハス空港では,吹き抜けが多用され,
鉄道駅を降りた所から,出発空間を部分的に味わうことができるようになっています.
これは,なんだかとても嬉しい気持ちになりました.

空間構造自体は,2方向曲面を波のように連続させています.
鉄骨造で,仕上げは木材.
傑作!!というほどではないですが,とても気持ちのいい空間になっています.
もしかして,断面がMの字のように見えるのは,マドリッドのM,だったり...?



因みに,今回バルセロナのエル・プラット空港も使いました.
こちらは2009年オープン.設計はバルセロナ出身のリカルド・ボフィル氏.
正直ノーマークで,着いたら以前のくらーい空港ではなくなっていてわたわたしてしまいました.
明るく開放的で,到着の際にも免税店が利用できる,便利な空港.
ただ,所謂ガラス空間という感じで,色も白と水色.
あんなに素敵な空の青を持っている場所の空港なのだから,
もう少し癖があってもよかったのではないかしら,と思ったりもしました.



PR

国や文化によって職域は微妙にずれています.
以前記事にした,鉄筋図や型枠図を構造設計者の会社が描く,というのもその一例です.
日本では,工務店さんやゼネコンさんが,生産設計部門として施工図を全て描いてくれます.

耐火設計もその一つです.
日本だと(私の経験が不足している所為かもしれませんが)
構造設計者が耐火について頭を悩ましたり計算したりする,ということはないように思います.
鉄骨アラワシのようなことをすれば,
塗料について注意を促す(耐火ペイントにする必要があるので)
という程度のことはするにしても,それ以上はあまり考えなかったように思います.

しかし,こちらでは,構造物を耐火仕様にすることも,構造設計者の仕事の一つです.
時折,耐火要求から断面が決まってしまうこともあります.
仕様規定を満たしていれば簡単ですが,そうでない場合は,
相応の計算をして確認を行います.

今日はそういう作業の勉強中なのでした.



因みに,もう一つ,かなりの頻度で問題になるのが,断熱です.
こちらはエコロジー意識が高い所為か,全館暖房が基本なせいか,
熱橋(ヒートブリッジ)に対してとても敏感です.
比較すると,日本の断熱基準は,現状ではとてもとても甘いです.
そのお陰でエッジの鋭い建物なども実現できたりする訳ですが.

例えば,バルコニーが片持ちで出ている場合の処理の仕方など,
さまざまな工夫がなされています.
その話題は,機会があればいつか書くかもしれません.



今日は,4年に1度のスイス総選挙の日です.
私は外国人なので選挙権はありませんが,郵便ポストにここ数週間政党からのビラが入ったりしていました.

スイスには主要4党というのがあるそうです.

 スイス国民党(Schweizerische Volkspartei,SVP):中道右派,保守.現在の与党.
 スイス社会民主党(Sozialdemokratische Partei der Schweiz,SPD):中道左派.スイス第2の政党.
 自由民主党(Freisinnig-Demokratischen Partei, Die Liberalen,FDP):古典的自由主義.最大の党員数.
 スイスキリスト教民主党(Christlich Demokratische Volkspartei,CDV):キリスト教民主主義.

さらに,最近躍進している党として,
 スイス緑の党(Fruene Partei der Schweiz,GPS):環境政党  


4年に1度,上下両院の議員を選出します.
上院は全州議会(Staenderat)で,定数46名.26のカントンのうち20の州から各2名,準州から1名ずつの代表で構成されている.カントンからの選出方法はカントンが決めてよいが,現在では全て公選.
下院は国民議会(Nationalrat)で,定員200名.政党名簿比例代表制で選出.

今回の選挙の最大の争点は,EUとの二者間協定だそうです.現在EUでは難民が大きな問題になっており,スイスでも移民問題は大きな問題です.最近では,EUからの移民を制限することが国民投票で可決されましたし,流れとしては外国人を排斥する方向にあるのが現状です.
今年の春には,スイスフランとユーロのレートの固定比率が突如撤廃されて,スイスフランショックなるものがありました.

経済的な問題を多々抱えるEUと距離を置くことで,現在比較的好調なスイス経済を保護しよう,という動きが活発になるのは,当然のこととも言えます.


さて,今回の選挙はどうなりますか.



ドイツのプロジェクトが進行中です.
現在,入札書類作成中.

日本から見ると,ドイツもスイスも同じように感じますが,
実際には色々違いがあります.


今感じている一番の違いは,ドイツでは計算書が必要なこと.
計算書を作って,それをプルーフエンジニアがチェックして承認印を押します.
それがないと,建設許可が下りません.
スケジュールとしては,入札書類作成段階付近で,計算書を提出します.
計算書が承認される,ということは,それより以降は変更が難しくなる,ということで,
更には,その段階で,詳細設計がそこそこ終わっていないとならないということです.

こういうことは,日本の設計者にとっては当然のようにも思えます.
日本では,確認申請という制度があり,
確認申請図面と計算書に対して,公的機関からの承認が必要です.
確認申請までに,少なくとも構造は決定していなくてはならず,
それ以降の変更は,全て,変更申請を用意して承認されなくてはなりません.

しかし,スイスでは,計算書を作成する必要がなく,設計者が責任を負います.
スイスの設計者はそれに慣れている為,
早い段階で全てを決めておかなければならない,ということに慣れていません.
更には,計算書を作成すること自体が,作業であり,
時間がかかるということにも認識が薄いです.

ドイツと日本との違いとしては,
日本では入札書類としては,基本的に図面がしっかりしていれば十分で,
数量は入札する側が拾うのに対して,
ドイツでは,設計者側が全てを網羅した文書による書類を準備しなければなりません.
そこで見落としがあると,現場に入ってから施工者から追加コストを請求されます.
この書類作成というのが,なかなか大変です.
日本ではゼネコンさんや工務店さんがやってくれている作業で,
日本よりも設計者の責任範囲が大きいということです.


どの制度にもいい点,悪い点があると言えます.
スイスのように設計をフィックスする必要がない制度では,
最後まで設計改良を重ねることが可能です.
計算書を作成するという作業に対するコストもありません.

一方で,後から第三者が正確に設計者の考えを追うことはできませんし,
実際的な問題としては,計算書を作成する段階で気が付く点というのもあります.


大切なのは,プロジェクトの国でのやり方を知っておくことです.
それぞれの国の人は自分の国のやり方しか知らないことが多く,
他の国の人に説明することが困難で,
しばしば問題が起こっているようです.


スペイン旅行の目的の一つは,エドゥアルド・トロハのサルスエラ競馬場を見に行くことでした.
これは1935年-1936年に作られたコンクリートシェルの傑作です.
建築家はCarlos Arniches Molto + Martin Dominguez.場所はマドリードの郊外です.
スペインの内戦の為,オープンは1941年でした.

2005年に補修を終えて(?SIKAの情報では2008年に終わったことになっていますが),美しい姿でよみがえりました.2009年には文化遺産登録.
2020年のオリンピックがマドリードに決まれば,使用される予定だったそうです.
(周知の通り東京に決定しました.)

公式ウェブサイトはこちら

時期にも依りますが,金曜日の夜と日曜日のお昼に競馬が開催されています.
私が行ったのは,日曜日のお昼.
マドリード市内の地下鉄駅moncloaから無料送迎バスで行けます.



トラックから見たスタンドはこちら.




そして,背面から見たのがこちら.



これは,相当浮遊感があります.ただならぬ薄さの感覚があります.



ネットで見つけた断面がこちら.




柱ピッチは5m.片持ちスパンは12.8m.バックは一般部で7m.
先端部コンクリート厚さは5cm,支点で14cm.

台形錐のような形をした柱が支点となり,前面の張り出し部分をバックの鉄骨柱でひっぱることで安定させています.
その鉄骨柱は下部のチケット売り場空間の天井スラブを吊り上げ,無柱空間を実現しています.
(前面の屋根の素晴らしさに目を奪われがちですが,これもスマートな解で,気持ちがいいです.)


背面から寄って見たところがこちら.





ネット情報によると,この曲面はHP曲面なのだそうです.
HP曲面の特徴の一つに,直線をずらしていくことによって構成可能だ(よって型枠が作りやすい)ということがありますが,
ここでは型枠は曲面で作っているようですし,
吊り材の部分であきらかにエッジの角度が変わっているので,
デザインの着想としてHP曲面を用いた,というに過ぎないのかな,という気もします.
1930年代はまだ,特殊な形態を考えようとすると,
数式化された幾何学を頼りにしていくことになったのではないでしょうか.
(或いは,ガウディのように,実験・計測して形態を決定するか.)



特殊な幾何のついてまわる問題の一つに,端部の処理がありますが,
ここではこんな大胆なデザインを選択しています.



端のスパンは背後のスパンを伸ばし,更に端部をざっくりと切っています.
その理由は,今のところ私が理解している限りでは,
下部の平面(テラスのようなものが付け足されている)を覆いたいから,
というだけのようにも思えて,
その為に,実は,内部のスパンとは曲面の形態まで変えるというラフさがあるようなのですが,
(自分だったら厳格に同じ形態を繰り返してしまいそうです.)
この,心持の軽やかさ,おおらかさ,
そしてそういうラフさを凌駕する基本コンセプトの力強さは,
誰がどう見ても,傑作なのだなあ,と思わざるを得ません.



 calender
03 2026/04 05
S M T W T F S
1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30
 track back
 search in this blog
Script:Ninja Blog  Design by: タイムカプセル
忍者ブログ [PR]