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建築物を建てる手順というのは,国によって違います.
建設自体の手順も文化によって異なりますが,ここでは設計のプロセスについて話します.

ドイツとスイスとは同じドイツ語圏のお隣の国ですが,システムが全く違っています.

ドイツでは,分厚い構造計算書(フォーマットは概ね決まっている)が必要で,
しかも必ずPrufingenieurという第三者がチェックします.
このPrufingenieurになるには,資格が必要です.
彼らが理解してくれないものは,建てることができませんし,
たまに,彼らのほうから設計を変更するように指示があったりします.
つまり,高度な設計は,(特に無名の場合?)なかなか実現しづらい可能性も含んでいます.
ドイツでは実現できた建物がないので,これより先のことは今はまだわかりません.


一方スイスでは,一切構造計算に関するチェックはなく,ただサイン一発,
全ての責任を構造設計者が負う,というだけのシステムです.
計算書を作る必要もありません.
建築家になるにも,構造設計者になるにも,資格は要りませんし,
そもそも,構造計算に関する「法規」もなく「規準」があるだけです.

これはこれで,クリアなシステムですし,自分の責任で挑戦的なことも,でき得ます.

ただ,個人的には,やはり構造計算書は作った方がいいのでは,と思っています.
人間ですから(特に自分はですが)間違えもしますし,
計算書を作っている段階で気づくこともあります.
無駄にフォーマットを揃えたり,プログラムの全出力をしたりすることに意味は見出せませんが,
時間が経って,忘れてしまうことも多いですし,
計算書を作るという一見事務的なプロセスには,意味があるように思います.
雇われの身ですと,勝手に時間を使って計算書を作ることに問題がない訳ではないのですが.


因みに日本では,姉歯事件(構造計算書偽造事件)の煽りで
計算書のフォーマット化など随分厳しくなった筈です.
これ自体は私は大いに疑問を持っていて,ずるをする人を見逃さないことが目的になっていますが,
そもそも計算書というのは,ミスを防ぐ自分の為,という以外の本来の目的は,
第三者に何を考慮して設計を行ったかをわかりやすく示す為のものの筈です.
結局,責任の所在がはっきりしていない(国なのか設計者なのか審査機関なのか)ため,
適当にお茶を濁しているだけのように思えます.



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引き続き,業者さんとのやり取りをしております.

何を当たり前とするか,というのは社会によって規定されているので,
日本で培われた自分の常識が,別の社会での常識ではないというのはままあることです.
日常生活に於いてもそれは起こるのですが,
仕事に於いても当然のことながら起こります.

想像ですが,自動車業界や製薬業界などの製品製造業で,国際的な流通がある場合,
それなりに常識は世界の常識になっていたりもするのかな,と思いますが,
こと建設に関しては,不動産というだけあって,社会からの規定がかなり強くかかっています.

前の記事にも書きましたが,
ヨーロッパでは日本でのようなプライドに裏打ちされた質の高い無料サービスはあまり期待できません.
仕事というのは対価があってのものなので,
サービスするから仕事を受注させてほしい,というような情緒的な話は通用しないのです.
一応,サービスが0という訳ではないのですが,
日本の常識をひきずっていると,その質の低さに愕然とすることもしばしばです.

図面を渡して,このようにやって欲しい,と指示して,
できたと言うので見に行くと,
頼んだこととは全く別のものができあがっている.
しかも,それに関する事前の連絡はなし.

或いは,緊急にこの情報が必要なので,教えて欲しい,と連絡しても,
明日返答します,が毎日続く.
しかも,毎日かけても電話は繋がらない.
一週間待って返ってくる答えは,
質問と全く違うことに対して,こちらからの情報が不足しているので考慮できません.
とのこと.
相手の理解が間違えているということも,電話が通じないので指摘できません.


こういう事態が起こると,つい怒ってしまうのですが,
ヨーロッパの人たちは,あまり怒らず,にこにこと忍耐強く待ちます.
こんな風なので,設計のクオリティを上げきることがなかなか難しく,
逆に言えば,日本人の設計の質が国際競争力を持っている理由でもあります.


しかしまあ,怒った所で彼らが仕事をしてくれる訳でもなく,
寧ろお互いに気分よく仕事をすることが難しくなるだけなので,
(何しろ,この社会での常識は,彼らの方にあるので.)
怒って得になることはありません.

稀に,非常に協力的な会社もあるのですが,
そういう人たちに出会うと,絶対にこの人たちと仕事をしたい!と思ってしまったりします.


一旦契約書が交わされてしまえば,責任が発生してくるので,
それなりにきちんと仕事してくれるのかもしれません.
そうであることを期待したいところです.




自分の担当物件が,もうすぐAusschreibung (入札)です.

ただ,少々変則的なプロジェクトで,Project Managerがチームに入っておらず,
なかなかプロジェクトのコントロールに四苦八苦しています.

特に木造などの場合,業者の方からディテールなどアドバイスいただきたい.
けれど,業者からしてみると,契約前には,お金をもらえるかがわからないので,あまり時間を費やせない.
それは理解はできるのですが,
そうなると入札図面の質が上げられないし,入札前にスタディを詰めることができない.

日本でも同じことは起こっている訳ですが,
談合とかなあなあとか言われようと,そういう積み重ねが最終的な建物の質を上げているのも事実だと思います.


結局,入札を前倒しにして,業者の選定をしてしまい,
その後の時間をしっかり確保して,スタディを詰められるようにする,
というのが,一番実情に合っている気がします.

この場合のリスクは,最も安い業者を選定できないかもしれない,ということですが,
それは建物の最終的な質と引き換えになっているような気がします.


まあ,こういうことは,地域ごとのシステム,文化に拠っているので,
個人の力で簡単に変えていけるものでもありませんが,
そもそもは誰も悪い意図を持っている訳ではなく,
適切な価格でよい品質のものを提供したい,されたい,というのは共通していることだと思うので,
そういうシステムを見つけていければなあ,と思ったりします.




暫くぶりの更新となりました.

やっているプロジェクトで,プロジェクトリーダーにさせてもらい,
今までまだヨーロッパで実現したプロジェクトがないため,試行錯誤の毎日です.

特に,業者の方にどの段階で何をお願いするか,とか,
自分の作業として,どの段階で何をするかとか,
そういうことがよくわかっていないので,
チームの皆様にもご迷惑をおかけしつつ,
できるなりの精一杯で対処しています.


業者の方とのやり取りは,とても難しいです.
今やりとりさせてもらっている業者の一つは,スイスの業者なのですが,
なんとフランス語のみしか話さない,理解しない,とのこと.
チームや他の業者のことも考えると,英語がベスト,少なくともドイツ語程度は理解してほしいのですが....
お陰でコミュニケーションがスムーズに行かず,
こちらの指示と全く違うことをやっていたりします.
これは,どう考えればよいのでしょうか....
日本の業者の方と日本語でやり取りしている時には,まず起こらないですし,
万が一起こったら,当然,それは,受付られない事態として処理されてしかるべきなのですが......


こういう事態も一人で対応しなくてはならないというのは,
精神的にもとても負担なので,
やはりチーム編成が必要だよな,との思いを新たにするのでありました.





旅をして,いつもと違う場所に行ったりすると,
異なる環境で人がどんな風に生きているかというのを目の当たりにする.
その時,そういう人間のおおらかさとか力強さとか,そういうものを見る時,
建築に何ができるんだろう,という気になる.

いい建築というものがあるとして,
それは建築のための建築,というようなものよりは,
もっと,気持のいい空間,的なものである,
と言われたら,反論できるんだろうか.

という問いを立てること自体が,反論したいという願望の表れではある.


Casa da Musicaはよい建築だった.
その賞味期限は,スコープは,100年単位でもつんだろうか.

シザのプールはとてもきもちよかった.
物として持つかどうかはともかくとして,賞味期限は100年をきっと超えるだろう.



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