忍者ブログ

<< 06  2025/07  1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31    08 >>

×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

自分の担当物件が,もうすぐAusschreibung (入札)です.

ただ,少々変則的なプロジェクトで,Project Managerがチームに入っておらず,
なかなかプロジェクトのコントロールに四苦八苦しています.

特に木造などの場合,業者の方からディテールなどアドバイスいただきたい.
けれど,業者からしてみると,契約前には,お金をもらえるかがわからないので,あまり時間を費やせない.
それは理解はできるのですが,
そうなると入札図面の質が上げられないし,入札前にスタディを詰めることができない.

日本でも同じことは起こっている訳ですが,
談合とかなあなあとか言われようと,そういう積み重ねが最終的な建物の質を上げているのも事実だと思います.


結局,入札を前倒しにして,業者の選定をしてしまい,
その後の時間をしっかり確保して,スタディを詰められるようにする,
というのが,一番実情に合っている気がします.

この場合のリスクは,最も安い業者を選定できないかもしれない,ということですが,
それは建物の最終的な質と引き換えになっているような気がします.


まあ,こういうことは,地域ごとのシステム,文化に拠っているので,
個人の力で簡単に変えていけるものでもありませんが,
そもそもは誰も悪い意図を持っている訳ではなく,
適切な価格でよい品質のものを提供したい,されたい,というのは共通していることだと思うので,
そういうシステムを見つけていければなあ,と思ったりします.




PR

暫くぶりの更新となりました.

やっているプロジェクトで,プロジェクトリーダーにさせてもらい,
今までまだヨーロッパで実現したプロジェクトがないため,試行錯誤の毎日です.

特に,業者の方にどの段階で何をお願いするか,とか,
自分の作業として,どの段階で何をするかとか,
そういうことがよくわかっていないので,
チームの皆様にもご迷惑をおかけしつつ,
できるなりの精一杯で対処しています.


業者の方とのやり取りは,とても難しいです.
今やりとりさせてもらっている業者の一つは,スイスの業者なのですが,
なんとフランス語のみしか話さない,理解しない,とのこと.
チームや他の業者のことも考えると,英語がベスト,少なくともドイツ語程度は理解してほしいのですが....
お陰でコミュニケーションがスムーズに行かず,
こちらの指示と全く違うことをやっていたりします.
これは,どう考えればよいのでしょうか....
日本の業者の方と日本語でやり取りしている時には,まず起こらないですし,
万が一起こったら,当然,それは,受付られない事態として処理されてしかるべきなのですが......


こういう事態も一人で対応しなくてはならないというのは,
精神的にもとても負担なので,
やはりチーム編成が必要だよな,との思いを新たにするのでありました.





同僚の担当物件の配筋検査についていかせてもらいました.
やはり実際にものを見ると,理解がぐっと深まります.

打放し壁を多用した鉄筋コンクリート造の住宅です.
見学させてもらったのは,日本で言う2階床の配筋検査でした.
私の目的は,同じ職種とは言え,文化によって実際の仕事内容が異なるので,
構造設計者は現場で実際に何をするのかを学ぶことでした.

結論から言うと,することはほぼ同じ.
設計通りに配筋されているかを確認し,間違いがあったり足りないところがある場合は,修正を指示する.
日本と違っていた点(或いは以前の職場と,かもしれませんが)は,
まず,どの時点で現場に行くかを,設計者が判断しているということ.
勿論現場の場所にもよるのでしょうが,
床の配筋の場合は,下筋と上筋に分けて検査するようです.
下筋に問題があった場合,上が配筋されてしまっていると修正しにくいから.
こんなところにも丁寧さが顕れています.

他にも,コンクリートの中に仕込む断熱製品やその為の補強製品が色々あるのですが,
それを実際に見ることができて,興味深かったです.

あともう一つ違うのは,日本の場合,検査の回数が少ないのもあるのかもしれませんが,
指摘事項は現場の職員さんが書類にまとめて,
修正箇所を修正した後に写真をとって監理者に送り,確認をとった上で打設しますが,
スイスの場合は,実際に修正してもらうまでその場にいて,実際に目で確認するようです.

一点気になったのは,打設直前の型枠の上で作業員の方が喫煙していたこと.
水で散々清掃してはいましたが,わざわざその横で汚すことないだろうになあ,と思います.


因みに,打放し鉄筋コンクリートは,ドイツ語ではSichtbetonと言います.
英語に直訳すると,Visible Concreteです.





ヨーロッパは何故かコンクリートが安く鉄骨が高いということになっているので,
日本ほど鉄骨造は使われません.(イギリスを除く.)
ので,鉄骨の扱いも日本に比べるとちょっと雑な気はします.
実際のところ,地震についてあまり真剣に検討されていないため,
例えば保有耐力接合の考え方などもありませんから,
取敢えず存在応力に対応できる接合がされていればいいだろう,ということなのかもしれません.

で,今日の驚き.
(特に現場での)突き合せ溶接の時に
金属製であれセラミック製であれ,裏当金を使うというのは基本かと思っていましたが
そんなものは存在しない,よってそのものの名前もないとのこと.
て,て,適当....溶接部分の品質は確保されてるのか?


鉄筋コンクリート構造に関しては日本では見たことのない製品がずらりとあるのと比べると,
やはり需要の低いものの技術は進歩しないのだなあ,と痛感いたします.






担当物件がAusschreibungをもってBauprojektのフェイズを終え,
Ausfuehlungというフェイズに入りました.

Ausschreibungというのは,端的に言って入札のこと,コストはここで概ね決まります.
Ausfuehlungというのは実施設計のこと,実施図面(施工図面)を仕上げるところまでです.

入札の後に実施設計の期間があるのは,日本の感覚から言うとおかしな感じなのですが,
スイスでは日本のような確認申請制度がなく,入札後にも設計の変更が多々なされます.
但し,ここでコストが上がってしまうと設計側の責任を問われることになるので,
Ausschreibungの際には,取敢えず大目に数量を見ること,但し見過ぎないこと,を心がけます.

Ausschreibungと施工図提出はプロジェクトの中の仕事量としては双璧のようです.

Ausschreibungにて構造設計者が提出しなければならないものは,
  設計の考え方を説明した文書 
  数量リスト(使用する細かな製品の種類や数量まで含む分厚い資料)
  一般図
  代表的な部分の施工図,代表的な部分のディテール,
  鉄骨詳細は代表的なもの全て
です.勿論細かな寸法などは何れにせよ後に変更がかかるので問題になりませんが,
兎に角,数えもらしがないこと,数量が少なめに入ってしまわないこと,に最新の注意を払います.


この後のコスト増に関しては,
それが例え意匠設計者による変更に付随するコスト増だとしても,責任を問われたりするようです.
つまり,Ausschreibung後は,構造コストの上がるような変更に関しては,抵抗せざるを得ない,ということです.
勿論,設計チームの一員としての構造設計者の気持ちとしては,
よりよいものになるならば,例え構造のコストが多少上がっても,それはそれでやるべきなのでは,
とか思いたくもなる訳ですが,
それは対施主や社会的には通用しないということです.

逆に言えば,意匠設計者はその辺りを見込んで,他のコストが上がるような変更については
Ausschreibung前に通知しておかないと,その後は話が通りづらくなる,ということです.

取敢えず,初めてのAusschreibungを通過して,どういうものなのかはなんとなく掴めた気はします.

まだまだこのプロジェクトの波乱は続くようですが,
最後にみんなで笑って竣工や10年後や50年後を迎えられるよう,
日々努力していきたいと思っております.




 calender
06 2025/07 08
S M T W T F S
1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31
 track back
 search in this blog
Script:Ninja Blog  Design by: タイムカプセル
忍者ブログ [PR]